賃貸住宅の更新料、高裁が無効判断 「消費者利益害する」

先月に、賃貸住宅の更新料は無効である、という判決が地裁で出ていましたが、今度は高裁でも出たようです(別の裁判です)。

賃貸住宅の更新料、高裁が無効判断 「消費者利益害する」
賃貸マンションの更新料支払いを義務付けた契約条項は消費者契約法に違反するとして、京都市の男性が貸主に支払い済みの更新料など約55万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。成田喜達裁判長は「更新料は消費者の利益を一方的に害し、無効」との判断を示し、一審・京都地裁の判決を変更し、更新料など45万5千円を返還するよう貸主側に命じた。貸主側は上告する方針で、最高裁の判断が焦点となる。
 「入居2年で家賃2カ月分」といった更新料の設定は、首都圏や京都などで商慣行化しており、対象物件は100万件に上るとされる。同種訴訟では7月、京都地裁が別の事案で更新料を無効とする判断を示し貸主側が控訴中だが、高裁レベルでの無効判断は初めて。
 訴訟は「消費者の利益を一方的に害する契約は無効」とする消費者契約法の規定に、更新料契約が該当するかどうかが主な争点だった。(27日 23:01)

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090827AT1G2702E27082009.html

「更新料は消費者の利益を一方的に害し、無効」

とのことですが、これって

「入居2年で家賃2カ月分」といった更新料の設定は、首都圏や京都などで商慣行化しており、対象物件は100万件に上るとされる。

とのことで、少なくとも東京に今まで住んでいる経験からすると、更新料1ヶ月分を支払うのは間違いなく商慣行になっていて、入居者としてはしぶしぶながらも、まあ払うんだろうな、というのが前提にあったと思います。
実際、この裁判の例で、どのような契約書が使われていたのかわかりませんが、契約書には更新料についても書いてあったでしょうし、今まではずっと更新料を払ってきて、退去するときになって突然返還を求めるというのは、ちょっとどうなのかな、と思います。

マンション賃貸契約に影響も 更新料返還訴訟で借り主逆転勝訴
2009/08/27 19:46
「流れを決定づける大きな一里塚」「最高裁まで戦い続ける」。賃貸マンションの更新料契約を無効とする判断を下した27日の大阪高裁判決を受け、双方の代理人が大阪市内で会見した。借り主側は「一見安い印象を与える家賃表示の一掃につながる」と評価し、家主側は「一定の歯止めがないと契約制度が崩れる」と反論した。更新料が習慣になっている地域では今後、返還請求の増加や契約内容の変更といった影響が出る可能性もある。
家主側の「貸主更新料弁護団」によると、更新料は京都や滋賀、首都圏で40年以上にわたって続いており、現在も100万契約以上あると推計される。
 仮に更新料がなくなれば、家賃を上げざるをえなくなるうえ、(1)敷金礼金などの初期費用がかさむ(2)低所得者層向けの公的補助が打ち切られる-などのデメリットが生じるという。
 家主側の弁護団代表の田中伸弁護士は「借り主は自由に物件を選べるが、家主は契約を信頼して貸す。疑問があるなら契約時に尋ねるべきで、選んだ後に金を返せという理屈は通らない」と憤る。東京共同住宅協会の谷崎憲一会長も「多くが個人事業主である家主にとって、判決内容はリスクの増大と脅威につながり、大きな影響が出るだろう」と懸念を示した。
 一方、逆転勝訴した借り主側の「京都敷金・保証金弁護団」は、借り主が情報量や交渉力の格差を背景に、不当な条項を一方的に押しつけていると反論した。更新料がなくなれば家賃が上がるという家主側の主張を「まさに詭弁(きべん)。更新料があるから家賃が低いという証拠はない」としたうえで、家賃を安く見せかける不当表示につながっていると主張した。
 団長の野々山宏弁護士は「最終的に家主にいくら払わねばならないか不明確なのが問題点。家主側が一方的に都合のいい契約書を作るのを司法がチェックする方向になればいい」と述べた。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/294669/
ぼくは法律の専門家ではないので、法的なことはよくわかりませんが、賃貸住宅を借りる方の一般的な認識が更新料を支払うのが当たり前(商慣行化している)であり、かつ契約書にその旨の記載があるのであれば、やっぱり払うべきなんではないかと思います。
ぼくが今住んでいる物件の賃貸借契約書を見てみたところ、
「更新料:新賃料の1ヶ月分」
と、記載がありました。
現在の商慣行が法的におかしいのであれば、改められるべきなのでしょうが、それが改められることになれば市場へのインパクトはかなりのものになるのではないかと思います。
東京の場合、更新料は1ヶ月(2年更新であれば、毎月換算で4.2%程度)、この裁判の例だと更新料は2ヶ月分(2年更新であれば、毎月換算で8.3%程度)、となっているので、実際に更新料を受け取っている方にこのくらいのインパクトが出るかもしれません。
入居者からすると、更新料は大家さんに払っているように見えますが、実際には更新手数料として管理会社が受け取っている場合もあるでしょうし、大家さんと管理会社で折半などの場合もあるのかもしれません。もちろん自主管理をされている大家さんの場合は、すべて大家さんが受け取っているはずです。
入居者、管理会社、家主の間でどのような契約になり、その結果、家賃の水準自体にどのようなインパクトが出るのか、今後の最高裁の判決次第では大きな変化が起こるかもしれません。
貸主側としては決してポジティブな話ではありません。

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