ROEとROAの計算方法

Global Bankingの課題で、銀行(より正確には金融コングロマリット)のパフォーマンス評価を行っているのですが、利益率の指標としてROE(Return on Equity)とROA(Return on Assets)があります。
そして、ハンドアウトやテキストなどを見ているとこれらの定義が次のようになっているのです。

ROE = Net income / Total equity capital
ROA = Net income / Total assets

これらの定義には、なんか違和感があるのはぼくだけでしょうか?
どういうことかと言うと、ROAの分子はNet incomeではなく、事業利益と呼ばれるものが来て欲しいわけです(つまり金利費用控除前の数字です)。というのは、「すべての資産(総資産)を使って、それら資産の債権者(負債の債権者および株主)に帰属する利益をどれだけ稼いだか」がROAという指標の意味するものであり、一方、「株主から調達した額および過去の利益の蓄積を使って、株主に帰属する利益をどれだけ稼いだか」がROEという指標の意味するもの、なんだと思っているからです。
ところが、テキストなどを見ていると銀行評価の場合、分子はいずれもNet incomeを使うようなのです。まあ、決めの問題と言えば決めの問題なので、何でもいいのですが、こういった指標の場合、自分が知っている定義だと思い込んでいると誤解を招くことがあるので注意が必要かもしれません。
ちなみに、「決めの問題」と言えば、これらの指標を計算するときの分母として、期初の数字を取るか、期初と期末の平均値を取るか、といった話があります。どちらでもいいっちゃいいのですが、ぼくは個人的には期初の数字を取るのが好きです。
というのは、例えば銀行預金を考えた場合、金利5%の口座に1万円を1年間預けた場合の利回りは5%と考えるのと同じだからです。もし、期初と期末の平均値を取るという考え方で計算すると、この預金の利回りは、
500円/((10000+10000*1.05)/2) = 0.0488 = 4.88%
となってしまいます(税金は無視しています)。当初1万円あったものを1年間運用して10500円になったら、利回り5%と言ったほうがしっくりする気がするのです。
コンセンサスさえ取れていれば、どちらでもいい話ではあるのですが。

2 件のコメント

  1. 投資一族の長 返信

    ROAは日本語だと事業利益になっていることが多いですね。さらっと見た感じ、ここの定義と説明が一番納得できます。

  2. yokoken 返信

    おっしゃるとおり、ROAは金利収入は足して、金利費用控除前の事業利益を使って計算されていますよね。
    MBAのクラスメイトと話していて、ROEはこう計算すべきだ、とか”べき論”を展開している人がたまにいますが、自分で使う分には、自分が見たい指標を自分で決めて計算すればいいだけの話ですよね。時系列で比較したり、競合相手と比較する際に、一貫性のある指標を使うことが大切かと思います。

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