お金に困らなくなる マイホームの買い方・つかい方―「暴落するマンション・売れない一戸建て」をつかまない知恵

お金に困らなくなる マイホームの買い方・つかい方―「暴落するマンション・売れない一戸建て」をつかまない知恵
山崎 隆
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先日、東京のどこに住むのが幸せかを読んだばかりですが、同じく山崎隆さんによるマイホームの買い方に関する本です。
東京のどこに住むのが幸せかでも、最初の100ページくらいで、街の栄枯盛衰というか、発展の仕方、そしてマンションの価値に対する考え方などが書かれていましたが、こちらの本ではそういった考え方の部分を取り出して、より詳しく解説されています。
以下、目次より。

はじめに
序章 未来に備えるマイホーム購入法とは?
1 マイホームの資産価値を問い直す
 「住む、貸す、売る」の三つの価値を使い分ける
 サラリーマンA氏の失敗と成功に学ぶ
2 ファイナンシャル・プランニングの定石は「資産の組み換え」
 ファミリータイプの賃料が安いエリアは要注意
 「収益性」と「換金性」に着目した本物の鑑識眼をマスターする
 価値と価格の違いを知って“収益還元法”で推定しよう
 資産活用の柔軟性と選択の自由を保ったうえで判断する
 エリアや街の地域格差からレバレッジ効果を引き出す
 狩猟民族的なライフスタイルと不動産の扱い方
 資産運用の基礎理論を学ぼう
 不動産投資のポートフォリオ管理の基本はバランスシート
3 本書の「構成」と「ポイント」
第1章 マイホーム選びとは「街選び」である
1 東京圏の街に隠された、普遍的な「法則」
 資産価値の観点から「賃貸マーケット」に注目してみる
 「市場価値は私情価値とイコールではない」ことの意味
2 なぜニュータウンは衰退するのか
 都心とニュータウン・郊外、両極端の特徴を観察する
 衰亡のメカニズムは、ひょうたん型の人口ピラミッドにある
 ファミリー層が流入する「賃貸マーケット」が街を活性化する
3 ファミリー層の動向を考察すると未来が見える
 金持ちファミリーの「賃貸マーケット」がカギを握る
 「賃貸マーケット」が活性化しない地域はどうなっていくか?
4 日本の不動産マーケットは格差社会の象徴
 これが、高額所得層の子育てファミリーの行動パターン
 人口増加ではなく、経済力が街を活性化する
 経済力の格差が不動産の価格差を生みだしていく
5 “キノコ雲型”の人口構造が暗示する危険な兆候
 不吉な形の人口ピラミッドで街の末路がわかる
 大型ショッピングモールが商店街の寿命を縮めている
6 現状維持が可能な郊外を歴史的な文脈から考察する
 郊外エリアにはサステイナブルな要件を整える街もある
 街の変化には法則がある
7 埋立地の将来を左右するのは「地震」
 湾岸系の臨海型ニュータウンの評価はきわめて難しい
 阪神淡路大震災でわかった、埋立地の持つ脆さ
 投資ではない「ギャンブル」は評価ができない
第2章 高額所得層ファミリーが好む街を狙え!
1 都心オフィス街への「職住近接」が暗示するもの
 かつては郊外にあった高級住宅街が都心に戻ってきた
 商業地が住宅街に変わる現象は、江戸時代への回帰
 「職住近接」は、住宅地の価格形成の根本概念である
 高額所得層にとって「時間が買える街」が最も尊ばれる
 「職住近接」という概念の変化を正しく捉えよう
2 究極の高級住宅街とは、つまり「狩猟民族の街」
 知識を武器にする多忙な高額所得層ファミリーの価値観
3 不動産の資産価値を成立させる必要十分条件
 高額所得層が好む街は、ただ「生活利便性がいい」だけではない
 港区と足立区との差異を統計データから比較してみると…
4 人口論で語ると本質は見えてこない
 従来と異なる複合的な要因が不動産の価格を決めている
 「賃貸マーケット」と「人口動態」と「価格形成」の関係に着目しよう
5 科学的かつ多角的に街を観察することの意義
 「人口増加率と資産価値には相関関係がない」と考えるのが常識的な結論
 高額所得層や富裕層が集まる賃貸マーケットの賃料には限界がない
 「狩猟民族を癒す街」の資産価値が高い理由は何だろうか?
6 高額所得層の人口が増えなければ街は成熟しない
 「多忙な高額所得層」が求めるもの
 不動産の資産価値を左右する街の特性
7 勝ち組エリアのマンションでわかる世界標準
 衰退する街のマンション価格の限界値はいくらか、計算してみよう
 「賃料が年収の3割負担」ルールとは関係のない世界がある
 賃料を支払うのは誰なのか? 法人、それとも個人か?
 マンションを探すために、「究極の街選び」のセンスを養おう
8 ファミリータイプの賃料が低い街の未来
 街の未来をファミリータイプの賃料から予測する
 地域経済の国際的なポジションが街の将来性を決める
 資産価値がなくなっていく街の物件を買ってはならない
第3章 資産価値を極大化する「最有効利用」という条件
1 お買い得物件を探すシンプルなテクニック
 「最有効利用」とはどのような状態のことをいうのか?
 「どんな建物なら最も高く売れるか」あるいは「高く貸せるか」を考える
 プランナーが考える「最有効プラン」と、その「損得勘定」
 街を見極める感覚の欠如が財産形成に失敗する遠因
 資産価値の高い街は大型ファミリータイプの賃料で判定する
2 “お買い得物件探し”の見る目を養うポイント
 さまざまに変化する最有効プランの「本質」を見抜け
 市場ニーズと物件との間に潜在する「歪み」を発見する
3 資産価値のある住宅のポイントは「2ベッドルーム」
 中古物件を狙う、あるいは近郊を狙うという戦略もある
 「2ベッドルーム」の物件の高い汎用性は見逃せない
4 ファミリータイプにこだわると見えてくる「ある道筋」
 狩猟民族の子育てファミリータイプの最有効プラン
 最有効プランのファミリータイプには3種類ある
 ファミリータイプの賃料はエリアにより大きく変化する
 賃料が低くても値下がりしない最有効プランを買おう
5 最有効プランへのリノベーションの重要性
 リノベーションでキャピタルゲインを生む
 「お買い得」は価値と価格のギャップの大小で決まる
 現況プランと最有効プランの間の「歪み」をみつけられるか?
 お買い得の定義を価格の安さと勘違いしてはならない
6 資産価値が上がるマンションが立地する「穴場エリアの法則」
 キャピタルゲインを狙うための「狙い目エリア」はどこ?
 では今後、注目したいエリアはどこか?
 物件を最有効にリノベーションする「技術」
第4章 本当の資産価値がわかる「収益還元法」の活用法
1 資産価値のないマンションが激増する時代へ
 どんなマンションに、どんな一戸建てに資産価値があるのか?
 「資産価値の低い物件」は「安く」買いなさい
 なぜ「収益還元法」が唯一の資産価値の判定方法なのか?
 収益還元法で「街の将来性」まで分析できる
 賃料12万円以下は、要注意エリアです
2 街の盛衰と不動産の価値の評価法
 危険水位ではないが今後、注意すべき賃料水準は15万円
 高額所得層の行動原則から遠い街には、こんなリスクがある
 不動産の未来が鑑定できない、不動産鑑定士の「実態」
 世界中で都市の持続可能性が話題になっている
3 マンションの本当の資産価値を診断する技術
 練りに練った“山崎式収益還元法”をお教えしましょう
 DCF法を組み入れた独自の直接還元法
4 秘伝公開! 山崎式「マンション資産価値診断マニュアル」
 日本で最も実用的な手法の基本構造はこうなっています
 実用本位のキャップレート決定法から始めましょう
 街の没落リスクを数値化するのが、リスクプレミアムです
 厄介な計算をシンプルにしましょう
 収益還元法はエリア別に使い分けることが大切です
 純収益の計算法を簡略化するとこうなります
 超カンタンな収益還元法も、ご披露しておきましょう
 新築と中古の違いで変わる判断プロセス
5 正確に賃料を査定する考え方
 「賃料の査定」、これが意外と難しいのです
 歴史的な文脈を、忘れないようにしてください
6 マンションの未来価値を予測して売買の意思決定をする
 実売価格=実質価値なのか、ということ
 リスクを知って意思決定し、かつ柔軟に行動する
終章 これからの「マイホーム選び」で最も大事なこと
1 30年後に笑うための法則をおさらいしよう
 「LDK」は、庶民のための間取り表現にすぎない
 最新の不動産鑑定理論が導きだした、当然の結論
 経済力を生む都市文明は新しいカテゴリーの才能をつくりだす
2 歴史の文脈から見えてくる、都市エリアの未来
 近代から現代まで、東京はどのように発展してきたか?
 なぜ「大阪経済は衰退する」と結論づけられるのか?
 関西圏も東京圏も、同じような運命をたどる
 「高額所得層ファミリーが好む最強エリア」を条件づける六つの要素

http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=4-478-00679-5
山崎隆さんは収益還元法で適正価格を判断することを推薦されていますが、この本でも第4章では、

秘伝公開! 山崎式「マンション資産価値診断マニュアル」

とある通り、収益還元法の考え方に始まり、キャップレートの具体的な計算方法などが書かれています。
収益還元法についてご存知ない方は、一度どんな考え方なのか知っておいて損はないと思います。計算の前提をどのようにおくか、特にキャップレートをどのように設定するかでかなり数字がぶれる方法ではあるのですが、それでもまったく試算しないよりは、いろいろなパターンでシミュレーションしておくとよいと思います。
先日の家を買いたくなったらでは次のように書かれていました。

では「買い時」というものはあるのでしょうか?
これに関してはお答えするのがむずかしいのですが、私としてはまず、もし実需で(投資目的ではなく住むために)不動産を購入しようというのであれば、価格の上昇または下落を、「株式投資」のように論じてみても仕方がないように思います。もともと「一生住むための家」と「投資目的の家」は性質がまったく異なるものではないでしょうか。 (P.120)
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みなさんに、まず目指していただきたいのは、「極端な割安の物件を探す」といった非現実的なことではなく、「価格的には相場であるが、総合的に良い物件」や「優良な物件であるが、それほど高くない」といった物件との出会いを求めることです。 (P.124)

投資という観点で考えると、できるだけ割安なものを探すことが重要になってくるわけですが、(将来、賃貸にまわすかもしれないという意味で結果的に投資になる可能性はあるものの)マイホームという観点で考えると、極端に割高ではなく、それなりに妥当な価格であればよいのかな、と思います。
「投資」というより、長い期間にわたる「消費」に近いイメージなのかもしれません。
資産価値という意味ではソロバンも重要なのですが、住み心地とかそういった計量化できない側面もマイホーム購入に際しては重要になってくるのだと思います。
何でもそうだと思いますが、結局はバランスを取ることが重要なのではないでしょうか。どのあたりでバランスを取るかは、純粋に好みの問題でしょうね。

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