日経ビジネスオンラインで、英語の学習法に関するコラムが連載されています。以下は、第5回からの一部引用です。
第5回 英語教育60年の辿ったまわり道~正解は戦後3年目に示されていた
私の新著『英語ベストセラー本の研究』(幻冬舎新書)をベースにして、英語の学習法について全6回の予定でお話をさせていただいている。
5回目の今回は、戦後60年の英語教育が、いかに足踏みし、遠回りの道を歩んできたか、という話をしたい。
すでに第3回(「英語で考える」ことは可能か?)で、終戦後3年目の1947年の春に、驚くべき内容の『指導要領(試案)』が発表された話をした。そこでは、英語教育の目標は次の4項に定められていた。
- 英語で考える習慣を作ること。
- 英語の聴き方と話し方を学ぶこと。
- 英語の読み方と書き方を学ぶこと。
- 英語を話す国民について知ること、特にその風俗習慣および日常生活について知ること。
目標のトップに「英語で考える習慣を作ること」が挙げられているのも驚異だし、「聴き方と話し方」が「読み方と書き方」に先んじている点も注目に値する。少し長い引用となって恐縮だが、第1目標「英語で考える習慣を作る」の説明部分も見てみたい。
「英語を学ぶということは、できるだけ多くの単語を暗記することではなくて、われわれの心を、生まれてこのかた英語を話す人々の心と同じように働かせることである。この習慣(habit)を作ることが英語を学ぶ上の最初にして最後の段階である」
ここでは、英語学習の目的は、単に言葉を覚えることではなく、ネイティブの考え方を学ぶことであることが示されている。これに続き、こんなことが書かれている。
「英語で考えることと翻訳することとを比較してみよう。前者は英語をいかに用いるかということを目的としているが、後者は古語を学ぶときのように、言語材料を覚えることに重点を置いている。前者は聴き方にも、話し方にも、読み方にも、書き方にも注意しながら英語を生きたことばとして学ぶのに反して、後者は書かれた英語の意味をとることにのみとらわれている。ここにおいて、英語で考えることが、英語を学ぶ最も自然な最も効果的な方法であることが明らかである」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080612/161902/
実際にイギリスで2年弱生活してみて、「英語を生きたことばとして学ぶ」ことや、「英語で考える」ことの重要性を実体験できた気がします。
”生きたことば”として学ぶというのは非常に重要だと感じました。やはりネイティブスピーカーたちと時間をともにし、このような状況ではこのような言葉をこういったニュアンスで使うんだ、といったこと一つ一つ経験していくと、その言葉のもっている意味をきちんと身に付けることができるのだと思います(ぼくが身に付けられたかどうかは別として)。
そういう意味では、単語帳とかである程度のボキャブラリーを覚えた後は、やはり生きた英語と接する機会をどんどん増やしていくことが重要なのではないかと思います。ネイティブスピーカーと直接話をするのがベストでしょうが、なかなか難しいでしょうから、海外ドラマなどのテレビ番組や、映画などをどんどん見るのがよいのだと思います。
前にも書きましたが個人的には日本語に変換するというプロセスを入れてはいけないと思うので、字幕なしで見るか、しんどい場合は英語字幕で見るのがよいと思います。日本語字幕で見ていては英語力向上には役立たないのではないでしょうか。
ただ、ここでしんどいのが字幕なしだと普通は理解度が極端に落ちるので、映画そのものをいまいち楽しむことができないということです。純粋に楽しむ時間ととらえるか、英語の勉強時間(英語力向上のための投資の時間)ととらえるかで、使い分けた方がいいかもしれません。このバランスが大切だと思います。
ちなみに、最近、なんとなくリスニング力が上がったような気がします。以前より、英語がゆっくり、はっきりと聞こえるような気がするのです。英語力は少しずつ上がっていくのではなく、ある日突然上昇するといったようなことをよく聞きますが、一つ上のステージに上がったのでしょうか。
2年近くもイギリスにいて、その間はたいしてそんなこと感じなかったのですが、帰国してからも毎日少しずつ聞いていたかいがあったのか、最近になってなんとなくよく聞き取れるような気がします。ちょっと遅すぎる気もしますが、こればかりは個人差もあるでしょうし、滞在時の英語シャワーの時間が短かったということでしょうから、まあ仕方ありません。これからも少しずつ聞いていこうと思います。
長くなってしまいましたが、最後に英国人の風俗習慣を知ることが重要ということで、以下のニュースを引用しておきます。
試験用紙に「失せろ」と書き2点もらう 英国の学生
[ロンドン 30日 ロイター] 英国で行われた国語のテストで試験用紙に「ののしり言葉」を落書きした生徒が、つづりの正確さと有効なコミュニケーション力を評価されて2点をもらったと、6月30日付の地元紙タイムズが報じた。
試験責任者によると、この生徒は国語のテストで「今自分が座っている部屋について述べよ」という設問に対し「失せろ」と書き込んだ。同設問は27点の配点だったところ、同生徒には2点が与えられたという。
同責任者は、もしも句読点が付け加えられていたら。さらに高い得点となっただろうとしている。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/157806
“It’s better than someone that doesn’t write anything at all. It shows more skills than somebody who leaves the page blank.”
http://www.timesonline.co.uk/tol/life_and_style/education/article4237491.ece
白紙答案よりは、何であっても書いた方がいいということですね。