一生賃貸!

一生賃貸!
エイブル
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「マイホームを買おう」系の本を読んでいると、あくまで買うことが前提になってしまっているので、賃貸派の本も読んでみました。
これは完全に賃貸派の本です(エイブルが編者ですし)。

第1章 マンションを購入したものの……
 ●倒産・失業の果てローン破産寸前のハヤオさんのケース
 ●欠陥マンションでローン地獄に陥ったスズネさんのケース
 ●思わぬ追加出費に青ざめるテツオさんのケース
 ●管理会社とのトラブルで居場所を失ったミオコさんのケース
 ●気づいたら、家族がばらばらになっていたコウジさんのケース
第2章 あなたは購入派? 賃貸派?
 データに見る住宅への思い
 やっぱり家が欲しい!?
 ●大都市圏の持家率
 ●集合住宅購入層のプロフィール
 ●自己所有がいいという理由
第3章 日本の住宅市場の問題点
 持家政策よ、さようなら!
 これからはリスクのない賃貸生活がベストの時代に
 ■コメンテーター 島田晴雄 慶応義塾大学経済学部教授
第4章 日本人の住宅観を検証する
 住宅市場は一大転換期
 賃貸ユーザーの未来は明るい
 長嶋 修 不動産の達人株式会社さくら事務所代表取締役社長兼CEO
 資産形成から見る住宅
 インカムリッチからバランスシートリッチへ
 米田 隆 エル・ピー・エル日本証券株式会社代表取締役社長
 格差社会の住宅問題
 新しいネットワークづくりと住まいの関係
 西川祐子 京都文教大学人間学部教授
 「買えない」から「買わない」へ 
 今、必要なのはわが家の構造改革
 紀平正幸 ファイナンシャル・プランナー
第5章 ライフプランから探る住まいの形
 佐藤益弘 ファイナンシャル・プランナー
 ケース別キャッシュフロー・シミュレーション
 ●夫婦と子どもひとりの場合(共働き)
 ●単身男性の場合
 ●単身女性の場合
 ●バツ1単身男性の場合
 ●バツ1単身女性の場合
 ●夫婦ふたり(DINKS)の場合
 ●子どもを産みたいと考えている夫婦の場合
 ●夫婦と子どもひとりの場合(妻は専業主婦)
 ●夫婦と子どもふたりの場合
 FPからのメッセージ
第6章 一生賃貸派宣言!
 ●子どもの教育環境を第一義に考えるジュンさんのケース
 ●5回転居してそのたびに満足を得たタカオさんのケース
一生賃貸でいこう!~あとがきにかえて~
 住まいに対する価値観は、変わり始めている
 平田竜史 株式会社エイブル代表取締役社長

http://book.diamond.co.jp/cgi-bin/d3olp114cg?isbn=4-478-68029-9

慶應義塾大学島田晴雄教授のコメント
「(前略)今の段階で、2%に近づいてきている長期金利は、やがて6~7%あるいはそれ以上にも上昇することが予測されます。
だから、この先、金利が上がるのは避けられないのに、長期ローンを組んで家を持つのは大変なリスクを負う選択になるのです」 (P.50)

長期のローンであっても、その期間固定金利で借りてしまえば、それはリスクにはならないと思います。一方で、金利が上昇すると一般的には不動産価格は下落するでしょうから(その結果、家賃もある程度連動?)、そういった意味では、購入して住宅ローンを組み、毎月の支払額を固定してしまうことは、別の言い方をすれば現在の賃料で固定することになりますね。
例えば、家賃並みの返済額ということで、毎月15万円の住宅ローンの返済になったとして、新築のときは15万円の家賃かもしれませんが、築20年になったら10万円くらいまで下落しているかもしれません。購入してしまうと、それでも毎月15万円支払い続けなければならないわけで、ある意味、逆ザヤ状態になってしまうかもしれません。
一方、将来インフレの時代がやってくるのであれば、借金をして不動産を所有しておくのは、それなりのインフレヘッジになるでしょうから、そういう意味では所有しておいてもよいかもしれません。

同じく慶應義塾大学島田晴雄教授のコメント
だいたい、よく考えてみると、そもそも30年も同じ家に住み続けることになるかどうか、現実問題として大きな疑問です。子どもが大学を出て独立していけば、住まいに求める条件はまったく変わっていくでしょう。だから、せいぜい家を買っても、15年から20年も住めば、上等なのではないかと思うのです。でも、家を買うときに、そんなことを考える人はまずいません。 (P.64)

これは確かにおっしゃるとおりだと思います。
仮に、子どもが2人だとして、(子ども部屋って何歳くらいから必要になるのでしょうか?)、一人目の子に部屋が必要になる頃から、二人目の子が大学卒業するまでと考えると、長めに見積もっても25年程度ということになりそうですね。
しかも転勤リスクや、賃貸における選択の自由度などを考慮すると、賃貸という選択肢も簡単には捨てられないですね(転勤してしまって、単身赴任ではなく家族ごと引越してしまい、誰かに賃貸に出すと、その間は住宅ローン控除は受けられませんし、、、)。
今後、賃貸と購入のメリットデメリット比較もしてみたいと思いますが、最後は、もう自己満足の世界というか、やはりそういうところに行き着くような気がします。
ちなみに、この本の後半では様々な状況に応じたライフプランシミュレーションが示されています。ほぼ全てのケースで、賃貸の方がよい、という結論になっているように見えますが、シミュレーションのシナリオが1パターンしかありませんので、シミュレーションの結果はかなり割り引いてみる必要があるかと思います。ただ、シミュレーションの考え方自体は参考になるかと思います。つまり、まずは今後発生するであろうライフイベント(車購入、結婚、出産、などなど)を確認して、それとともに、今後どのような生活を送りたいか(例えば年に1回は海外旅行に行く、とか)を確認し、それらを前提に、賃貸の場合と購入の場合で比較しています。
いずれにしろ購入に踏み切る場合は、長期的な視点でよく考えておく必要があるようですね。賃貸の場合は、やっぱやーめた、という場合でも、(購入と比べれば)それほどたいしたことはありませんから。

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