直伝 藤巻流「私の個人資産」運用法

直伝 藤巻流「私の個人資産」運用法
藤巻 健史
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「伝説のトレーダー」と呼ばれた藤巻健史さんによる、個人資産運用法に関する本です。長期的な視点で、経済全体のトレンドを予測し、それに基づいたポートフォリオを考えられています。

  1. 長期の固定金利のお金を銀行から借りられるだけ借りる。
  2. 自宅を含めて、不動産に投資する。
  3. 株を買う。米国株が中心である。
  4. 流動性はなるべくドル建てMMF等のドルにしている。
  5. 円預金は皆無に等しい。

(P.3)

まとめるとこのような感じになっているようです。
ちなみに、この本は2005年11月に出版されていて、長期的な視点で書かれています。この「長期的」が、10年なのか、30年なのか、50年なのか、そのあたりは不明です。
世界経済、為替、日本の株式市場、日本の不動産市場、円金利、米国経済、中国経済、商品市況(石油、金)など多岐にわたって、藤巻さんのビューが書かれています。
これらの予測は当たっていると言えるかも知れませんし、当たっていないかもしれません。
どの時点で、何が、どうなる、と明確に書かれていれば、予測が当たっているか、当たっていないか、判定することはできるでしょう。しかし、ぼくがこういった本を読む目的は、「将来どうなるかを知りたいから」ではありません。
はっきり言って、将来どうなるかなんて、誰にもわからないでしょう。2005年11月の時点で、2008年末の現在の状況を予測できた人はどれほどいたでしょうか。原油が1バレル100ドルを超えると予想した人もいれば、40ドル程度と予測した人もいるかもしれません。どちらが正解だったと言うことは難しいでしょう。
では、なぜこういった本を読むかというと、著者の考え方(ロジック)を学びたいからです。こういった視点で、このような前提の下で考えると、こういったことが予測できる。そういったことを勉強するにはよい本だと思います。
予測が当たるかどうかは、ほとんど重要ではありません(というか、ぼくはあまり人の意見を鵜呑みにはしません)。
前提が変われば、すべてのシナリオは突然書き換わってしまいます。

資産価格に大きな影響のある為替マーケットは今後どうなるか?
結論を先に言えば、私は日米金利差拡大によるドル高を予想する。(P.68)

2005年11月に110円台後半だったドル円は、2007年6月頃に123円程度までドル高になりましたが、2008年12月現在では90円程度まで円高が進んでいます。
予想が当たっていると判断する人もいれば、ハズレだと判断する人もいるでしょう。
発売当時にこの本を読まれてドル資産(MMFなど)を増やされ、現在まで持っている方は、泣きそうな状況になっているかもしれません。しかし、長期の米国債に投資されていた方は、そこまで泣きそうではないかもしれません。
最終的には、自分の頭で考え、自分の責任で行動するだけだと思います。

私は序章で、銀行から長期固定のお金を借りて不動産を買っていると述べた。「借金をすることと不動産を買うことと、どちらが主眼か?」と聞かれれば「あえて選択をするならば、借金をすることのほうが主眼」と答えるだろう。(P.109)

と書かれていますが、これは個人的には同感です。こんなに低いのであれば、借りなければもったいない、という気がしてなりません。
しかし、そうは言っても投資用物件に対する銀行の融資姿勢はかなり厳しくなっているようです。自己資金を、少なくても2割とか3割は入れなければなかなか融資してもらえない状況になってきているようです。
ところが、住宅ローンについては、必ずしもそうではないのだと思います(あまり確認していないので、正確なところはわかりませんが)。頭金は比較的少なくてもよく、長期固定の借り入れを、低めの金利ですることが可能です。
ということで、最近、自宅を買うという選択肢もあるかもしれない、と本気で考え始めているところです。
本の話から少しずれてしまいましたが、読み物としてはけっこうおもしろい本だと思います。
ただ、「藤巻さんがこう書いているから、ぼく(わたし)もこう投資しよう」なんて行動だけはしない方がいいと思います。してもいいですが、あくまで自己責任ということをお忘れなく。

ただ、私の真似をして損をしたら、一緒に泣いてさしあげることはできる。なぜなら、そのような時、私自身も大きく損をしているわけで、私自身が大いに泣きそうになっているだろうからだ。(P.1)

一緒には泣いて頂けるようですが。

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