億万長者になりたい人だけの不動産投資判断の基礎講座
石橋 克好
先日、たまたま本屋さんで見つけました。不動産投資の理論的なことが書かれている本です。
「投資とは何か」から始まって、デューデリジェンス、市場調査、そしてさまざまな投資指標の計算方法、そして最後に事例研究となっています。
中でももっとも重点が置かれているのが投資指標の計算の部分です。
NPV
IRR
ROI
ROE
LTV
K%
DCR
BE%
などについてきちんと説明されています。こういった考え方を知らずに不動産投資を行ってしまったら、かなり危険だと思います。
投資不動産の見つけ方や、不動産会社の選定の仕方などの知識をつける前に、投資不動産の物件自体の持つ力や能力を検証する力、判断能力を身に付けなければ、絶対といっていいほど確実に不動産投資で成功する方法はありません。
今まで述べてきたように、データの裏付けによる投資の判定方法を知らなければ、たまたま満室だったので投資が成功したり、その逆に購入したときは満室だったのに、次から次へと入居者が退室し、なかなか埋まらないので賃料を下げたら収支がうまくいかず、こんなはずではなかったというケースもたくさんあります。これでは投資はギャンブルになってしまいます。 P.171
まさにその通りだと思います。何かイベント(退室、金利上昇など)が発生したとしても、事前に自分で計算してシミュレーションしておけば、たいていのことは想定の範囲内でしょうから慌てることはないでしょう(さすがに地震で建物が全壊とかになったら、慌てるとは思いますが)。
退去が出た場合にキャッシュフローに与える影響はどの程度か、また何室まで空室があってもキャッシュフローはプラスを維持できるか。
金利が上昇したらキャッシュフローはどの程度減少するか、逆にどこまで金利が上昇してもキャッシュフローはマイナスにならないか。
現在はたまたま市場家賃より少し高めで入居頂いているが、次に退去が発生して市場実勢で募集しなおした場合にどの程度収入が減少するか。
などなど、事前にシミュレーションしておくべきことはたくさんあります。
そして本書の最後の事例研究の部分はとても参考になります。区分所有、一棟ものなどの4つの事例を取り上げて、どのように考えて計算していくか、実践的なことが書かれています。
もちろんこんな計算をしなくたって、たまたま成功する方はいらっしゃるでしょう。でも、たまたまではなく、できるだけ確実に成功したいならば、事前にいろいろと算盤を弾いておくことが重要なのではないかと思います。
ちなみに、この本は理論的な面に特化した本ですので、実際の物件の見方、各種パラメータ(空室率、実勢賃料、管理費など)の推定方法などの詳細は書かれていません。ですので、他にもいろいろな本を読んでおく必要があるとは思いますが、こういった理論的な本も最低1冊以上は読んでおく必要があるかと思います。
不動産投資に興味がある方にはオススメの一冊です。
同様の本としては以下の2冊があるかと思います。
不動産投資の教科書―不動産投資をやるなら、これだけは知っておきなさい
200万円からはじめるマンション投資術
共通していることは、どれもCPM(Certified Property Manager、公認不動産管理士)ホルダーの方が書かれた本だ、ということでしょう。
さっき気づいたのですが、この本、週刊全国賃貸住宅新聞7月14日号でも紹介されていました。