一棟ものと、区分所有ではどちらがよいか(8)ポートフォリオ運用のしやすさ

一棟ものと、区分所有の比較8回目はポートフォリオ運用のしやすさです。
今回も比較するにあたり、前提条件は以下の通りとします。

まず前提として、自己資金1000万円くらいで投資をする場合を想定しておきます。 一棟ものであればローンを借りて5000万円程度の物件(木造アパートか、かなり小型のマンションあたりでしょうか)、区分所有であればローンを借りてワンルーム3つ購入、といったイメージでしょうか。

今回は、区分所有の勝ちでしょう。
前提条件の例であれば、一棟ものは一棟のみ、区分所有の場合は3つのワンルームを所有することになります。一棟ものの一棟というのは、まさに一棟だけであり、立地、建築年、入居者層といったものについて分散効果はほとんど働かないかと思います。
一方、3つのワンルームであれば、例えば、東京、神奈川、埼玉に1つずつ持つこともできますし、もっと広く東京、大阪、福岡、なんかに持つことも可能です。日本における不動産投資の最大のリスクの一つが地震リスクかと思いますが、一点集中だとそのリスクヘッジは難しいですが、3カ所バラバラに持っていれば、3つとも同時にやられる可能性は低いかと思います(地震保険に加入すればという話もありますし、私も加入していますが、万が一の大震災が発生した場合、やはり少しでも分散していた方がリスクは抑えられるかと思います)。そして、一棟ものの場合、その町に一点集中投資をすることになりますので、例えば、その町に大学があり、毎年一定の新入生の需要を見込んでいたものの、その大学が突然移転することになって、急に需要が減ってしまったりすることもあるかと思いますが、3つの町に分けていれば、3つの町で同時にそのようなイベントが発生するリスクはかなり低いのではないかと思います。
また建築年についても一棟ものは一つだけですが、区分3つであれば、築30年、築20年、築10年といったように分散しておくことが可能です(債券運用でいうところのいわゆるラダー型ポートフォリオ)。築30年だけど利回りが高い物件を持つ一方、多少利回りは低くても新しめの物件も一緒に保有する、といったことが可能になります。
それから、入居者層については、例えばワンルームという前提を少しゆるめて、少し広めの1DKや2DK, 1LDKといった物件だったり、ファミリー向けの物件を混ぜたりすることで、区分所有の場合は様々な入居者層にアクセスすることが可能です。一方、一棟ものの場合、間取りが混在している物件はそれほど多くないですから、通常はワンルームばかりだったり、2DKばかりだったり、といった間取りになることが多いかと思います。
最後に、ポートフォリオ全体としてのリバランスという観点でも、区分所有3つは優れています。一棟ものの場合、ひとつだけだと、その物件を売却し、別の物件に買い替える、といった場合、ゼロイチの世界になりますが、区分所有を3つ持っていれば、一部屋売却して、また別の物件を購入といった場合、ポートフォリオの組み替えという意味では少しずつ実施することができますので、より安定的な運用をすることができるかと思います。
こういった観点で考えていくと、区分所有の方が扱いやすい、ということになるのではないかと思います。
以上、ポートフォリオ運用のしやすさ、でした。

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