最後にお墓の墓石について書いておきたいと思います。
墓石については、大きく分けると、和型と洋型があるのですが、最近の新規のお墓では洋型の割合が増えてきているそうです。これは同じ区画の場合、使う石の量が和型よりも洋型の方が少ないため、価格的に安くできるというのが一因のようです。昨今の不況や全体的な所得の低下といったご時勢を反映しているのかもしれません。
そして、和型の場合(ここでは「佐藤」という姓を例にしています)「佐藤家先祖代々」とか、「佐藤家の墓」といった文字が刻まれていることが多いのですが、洋型の場合は「和」とか、「愛」とか、けっこう自由に好きな文字を刻む人が多いようです。
今回うちで選んだのは、和型です。お墓といえばやっぱり和型だろう、と思いました。そして、お墓に刻む文字は本来どういう文字にするべきなんだろう、ということでいろいろ本を読んで調べてみました。
今回、目を通したのは以下の本です。
間違いだらけの「正しいお墓」―非常識が常識になっている お墓を建てたい人へのよくわかる指南書
福原 堂礎
知っておきたい正しいお墓の建て方
鷲見 東觀
誰も教えないお墓の話―幸せを呼ぶ「墓相と因縁」の研究
武居 範導
開運!先祖の祀り方・お墓の建て方―家運を高め、子孫繁栄を呼ぶ方法
竹谷 聰進
改訂新版 お墓の開運学―幸運をよぶお墓の建て方
足立 宗禅
故人がよろこぶ墓と供養
矢島 俯仰
幸せになるためのお墓の建て方・仏壇の祀り方 (ベストセラーシリーズ・ワニの本)
細木 数子
宗派によっても刻む文字が違ったり、いろいろな考え方があるようですが、こういった本を読んでみると、「佐藤家の墓」といった文字はダメなんだそうです。何でも、お墓に看板をかけてるように見えて、故人を祀るという本来の役割を果たしていないという考え方があるようです。
本によると、お墓も、位牌と同じであり、本来は「梵字+戒名(+位)」を石に刻むべきなんだそうです。ただ、最近では個人墓ではなく、代々墓と呼ばれるある家の直系子孫を祀る形の墓が主流になってきているので、その場合も「佐藤家の墓」ではなく、「(梵字)+佐藤家先祖代々」といった文字を正面に、右側面に戒名、没年月日、享年、俗名などを刻むのがあるべき姿のようです。
そして、建立年月および建立者名は、俗世界の話なので棹石(一番上の石)ではなく、台石の左側面に刻むべきということです。棹石裏面に刻んでいるお墓もよくありますが、あれはよくないんだそうです。
それから、一定のルールがあるのかと思いきや、それほどでもないのがフォントと、文字の色です。フォントは見やすいからという理由で楷書体が選ばれることが多く、文字の色はペンキを入れる場合もあれば入れない場合もあり、特に決まりはないようですが、黒だったり紺のペンキを入れるべきという考え方や、地域によっては金色のペンキを入れるところもあるようです。ただ、いずれにしてもペンキを入れた場合は、雨などで流れ落ちてしまうリスクがあり、数年ごとに再度入れ直さなければならなくなるようです。
あとは家紋を入れるか入れないか、水はけがよくなるように石に加工をしてもらうか、などいくつかあるオプションメニューを選択すれば、墓石についてもすべて確定させることができます。
いろいろと書きましたが、宗派によっても違うようですし、そもそもいろいろな考え方があるようです。また、長期的な視点で歴史的に考えると、現代の墓石の風習はそれほど長いものでもないので、どうしなければならないというのが必ずしも確立されているとは言えないのかもしれません。なので、必要以上にこだわる必要もないのかもしれませんが、せっかくの機会なのでいろいろ本に目を通して調べてみました。
ということで、3回に分けて「お墓を買う」というテーマで書いてみましたが、少しでも参考になれば幸いです。立地から始まり、墓石の仕様に至るまで、決めるべきことがたくさんあるので、「お墓を買う」という行為は本当に大変だと思います。ただ一番大事なのは、お墓参りだったり、法要だったりをしてご先祖様の供養をすることと、その気持ちだと思います。ある意味、やっとスタート地点に立ったところというところでしょうか。