繰り上げ返済の考え方

今週は、月、火と2日間、夏休みを頂いています。本当は、5日間取れるのですが、来週から出張したりする予定になっているため、後半の3日間は会社に出る予定です。
それはさておき、せっかくの平日休みということで、不動産投資で借りているローンの繰り上げ返済をしてきました。せっかくなので、繰り上げ返済の考え方を簡単にまとめておこうと思います。この考え方自体は、不動産投資のみならず、住宅ローンの場合であっても参考になるかと思います。
いちおう現在は金融が専門なので、できるかぎり厳密に考えようと思えば考えられないこともない気がするのですが、とにかくややこしいので、ざっくりベースの考え方を書いておきます。実際、今回繰り上げ返済を行うにあたって、ざっくりベースでしか計算していませんし。
以下の例題で考えてみることにします。

30年、金利4%で1000万円のローンを抱えているとします。現金が100万円貯まった場合、これは繰り上げ返済すべきかどうか。

まず、このローンの毎月の返済額は47742円です(これは金融電卓やExcel、またWebであればMy-FP.comなどで計算可能です)。
もし、100万円を繰り上げ返済したとすると、残高は900万円になるので、毎月の返済額は42967円となります(期間は変えずに、返済軽減型の場合)。
つまり、毎月の返済額は
47742円 – 42967円 = 4775円
だけ少なくなることになります。つまり、年間では
4775円 × 12 = 57300円
だけ支払額が減少することになります。
これは100万円を使って、毎年の支払額を57300円減らすことができたので、5.73%の投資とみなすことができます。 これよりも利回りの高い投資先があるのであれば、100万円は投資すべきでしょうし、ないようであれば繰り上げ返済すべき、ということになります。
ざっくりベースであればこんな感じになると思われます。
今回、ぼくは2つのローンのうちで、どちらを繰り上げ返済するかを検討したわけですが、単純比較であればこの考え方で十分だと思われます。
次に複数のローンがある場合に、どちらを繰り上げ返済すべきかを考えてみます。

30年、金利4%で1000万円のローン1と、20年、金利3%で1000万円のローン2があった場合、100万円で繰り上げ返済を行うのであれば、どちらを優先的に返済すべきか。

金利だけを見ると、4%と3%なのでどちらが高いかは明確です。しかし、年間の支払額の軽減という視点で考えると答えは異なります。
ローン1は先ほどと同じ計算になります。一方、ローン2は、現状では毎月の返済額が55460円であり、100万円を繰り上げ返済すると、49914円となります。つまり、
(54460円 – 49914円) × 12 = 66552円
となりますので、6.65%とみなせることになります。表面金利は3%と低いですが、削減効果はこちらの方が高くなるため、ローン2を優先的に返済すべき、ということになるかと思います。
基本的にはこのようなざっくりベースの考え方でよいと思いますが、もう少し理論的に厳密に考えようとすると、時間価値、税金などを考慮することになるかと思います。
不動産投資の場合、金利費用は費用として計上できますので節税効果があります。不動産投資以外の投資先などで投資する場合の税率と、節税側の税率が異なる場合には単純に上の数字で判断することはできないでしょう。
またマイホームとしての住宅ローンの場合は、残高に応じた税額控除の優遇税制があったはずなので、その点を含めて検討する必要があるものと思われます。
ただ、将来を予測することは誰にもできないでしょう。金利水準がどのように推移するか、税制がどのように改正されるか、など、誰も正確には予測できません。大まかな計算であっても、基準をそろえておけばだいたいの優劣は判断可能です。7,8割方正しいと思えば、後は思い切って行動するべきなのだとぼくは考えています。

2 件のコメント

  1. じぇろーむ 返信

    ご無沙汰です。
    私も同時期に夏休み(こちらは5日間)です。
    ところで、勘違いかもしれないけど、最初の例で5.73%の投資というのはちょっとミスリーディングじゃない?満期に100万円は返ってこないんだよね?
    私もyokokenのまねして、2年前から2つほどワンルームを買ってみて相場も見てるけど、なかなか良い物件に出会えません。また今度会った時にでも色々教えてください。

  2. yokoken 返信

    コメントありがとうございます。
    「5.73%の投資」という表現に対しては、他の方(デリバティブ関係者)からもご指摘を頂いています。ぼくが休んでいる間に、Bloombergのチャットでこの点について議論されていました。ぼくもAnywhereでログインして参戦していましたが。
    満期に返ってくるのは、不動産の現物(その時点の直ですから100万円とは限りません)です。
    「5.73%の投資」とみなしてよいかどうかについては、ぼくも当初は戸惑いました。でも、そのように考えてもいいのかなぁ、と最近は思うようになってきています。このあたりは改めて別のエントリーで書きたいと思います。
    じぇろーむさんもワンルームを買われたんですね。DCRやCCRなんかは計算されていますか?いろいろと情報交換させて頂ければと思います。

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