誤解だらけのマンション選び
稲葉 なおと
大手なら安心と思い込んでいませんか?
設計者の顔が見たいブザマな間取り。「貧乏人用はこの程度」と言わんばかりの安手な造り。不要なアクセサリーで飾りたてれば「近ごろ先進のマンション」!?不動産会社名と物件名をあげて、かゆい所に手が届く、マンション選択の新基準!
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2086700
この本は実際のマンションを具体例に出しながら、マンションの選び方の基本について書かれています。イラストや図も載っていてわかりやすい本だと思います。
ところが購入者の多くは、将来購入者独自の判断では勝手に変更できない肝心なポイントをきちんとチェックしないで、自分さえ決断すればいつでも変更できる内容にばかり目が行ってしまう。多少気に入らない点や、チェック洩れがあったとしても、それはあとからいくらでも変更できるようなポイントばかり気にしているのである。(P.21)
このポイントは非常に重要だと思います。購入後、手を加えて変更できる部分と、個人ではどうやっても変更できそうにない部分があり、後者が悪いとどうしようもない状態におちいってしまうかもしれません。よく「マンションは管理を買え」と言われますが、まさにこういった視点だと思います。
間取りでまず重要なのはマスターベッドルームであり、リフォームするとき大工事になってしまう水まわりスペース、つまりキッチン、バスルーム、それに洗面室にトイレといった場所だと思う。これらの場所についてそれぞれ快適であることが間取りの善し悪しを判断するうえでの大前提だと思うのだ。(P.35)
マスターベッドルームが隣室や廊下と接していて、しかもその壁が薄くて音を通しやすい、なんてことになるとゆっくりと眠れる場所が確保できなくなってしまうようです。また、水まわりのリフォームはまったく不可というわけではないのでしょうがとにかくお金がかかるようです。
建築の世界に、「神はディテールに宿る」という有名な言葉がある。建物を企画し設計した人の姿勢やセンスは、ディテールと呼ばれる細かな納まりの部分にこそ表れるのだ。マンションでもまさにこの言葉が当てはまる。(P.133)
住む人のことを考えてディテールにこだわっているマンションであれば、大きな間違いは少ないのかもしれません。
購入を検討しているマンションの管理の具体的な中身を知るには、売買契約締結までに渡される三つの書類の内容を検討するしかない。管理規約、使用細則、そして管理委託契約書である。(P.145)
後は、実際に住んでいる方に直接話を伺えたらベストでしょう。
私自身、マンションに限らず建物の設計と施工は、まったく別の会社に任せるべきだと思っている。建設会社が設計も施工も請け負うという、いわゆる設計施工スタイルは、工事費用のコストコントロールについても、現場監理の質においても、そして将来のメンテナンスという点でも、どうも百パーセントは信用できない。(P.211)
設計と施工は別会社になっていた方がよいという話は別の本にも書いてありました。業界では常識なのかもしれません。
この本ではマンションの一般的な選び方(第Ⅰ部 基本性能別マンションの選び方)に加えて、第Ⅱ部として、「不動産会社系列別マンションの選び方」として、具体的に会社別の特徴などについても書かれています。ここまで書いてある本は今まで読んできてもあまりなかった気がします。
まじめにやろうとするとマンション選びは本当に大変ですね。
こんにちは。「稲葉なおと」さんのお名前で検索していたら、こちらにたどり着きました。マンションの本を以前に書かれていたというのは知っていましたが、こういった本だったのでね。ちょっとびっくりしました。世界各国数多くの旅行記を書かれて、資生堂で写真展をやって写真集を出されたかと思っていたら、長編小説を出されて、すっかり作家というイメージが、わたしの中では定着していました。一番新しい長編小説「ゼロ・マイル」は最高に楽しい小説です。建築家ならではの情景描写も素晴らしいですが、父と幼い子の交流がひしひしと心に迫ってきます。オススメ!です。こちらに紹介されています。
http://www.momotown.net/designer/inaba.html
トラメルさん、コメントありがとうございます。コメントの公開が遅くなってしまって申し訳ございません。
稲葉なおとさんの本はこの本を読んだだけですので特にイメージとかは持っていなかったのですが、作家として活躍されている方なんですね。
ご紹介ありがとうございました!
yokokenさんのコメントに刺激されて、稲葉なおとさんのマンション関連の本を続けざまに読んでみました。こんな本が、10年前に出ていたなんて、驚きです。「誤解だらけのマンション選び」も改訂版というか、2000年版が出ていました。こちらでは、分譲会社だけでなく管理会社の実名実力比較もされています。その後に出た「高く売れるマンション 暴落するマンション」は、なんと、稲葉さん撮影の写真と、稲葉さん描いたイラスト付の本でした。超初心者でもわかるように、わかりやすい語り口で書かれていますが、中は、滅茶苦茶濃いです。機会があったら、御一読を! 作家さんで、売れなくなって実用本を出される、という人は何人かいますが、実用本を書かれていて、小説や写真集を出される、って珍しいですよね。貴重なきっかけをありがとうございました!
トラメルさん、こちらこそ稲葉なおとさんに関する情報を頂きまして、ありがとうございました!
トラメルさんのコメントにあった、以下の2冊ですが、早速Amazonで購入してみました。
「誤解だらけのマンション選び」(2000年版)
「高く売れるマンション 暴落するマンション」
今から読むのが楽しみです。
お時間ありましたら、またこちらのブログにもお立ち寄り頂ければと思います。