マイホーム購入を検討されている方には、かなりオススメです。ぜひ一度読まれたほうがいいと思います。すでに購入された方は読まなくてもいいかもしれません。
ちなみに、この本は「投資」のための本ではありませんが、ここではあえて「不動産投資」のカテゴリーに入れてあります。
マイホームは「貸せる物件」を買いなさい!―後悔しないマンション・一戸建ての選び方・買い方・考え方
山崎 隆
「マイホームの価値は「いくらで貸せるか」で決まる」
とあるように、DCF的な発想でマイホームの価値を見極めて、その価値とついている価格とを比較して買いましょう、といった内容の本です。投資的な視点を入れて検討している、とも言えるかもしれません。
マイホームって、若くてもけっこう思い切って買う方が多いように思います。でも、いつも思うのは「それってそんなに価値があるんでしたっけ?」ということです。もちろん「マイホーム」は、「投資物件」とは異なり、持っていることによるステータスとか、満足感とか、持っている本人にしかわからない価値があるので、「それ割高じゃないですか?」とは言いませんが、でも購入に踏み切る前に、不動産の価格としてどの程度が妥当なのか、それなりに検討した方がよいと思います。
パソコンとか、DVDレコーダーとか、家電の類はけっこうパンフレットをかき集めて、価格、性能の比較を熱心にするような方でも、家とか生命保険となると、セールスマンに言われるがままに契約してしまう方もいるのではないでしょうか。
理解した上で契約しているのであればいいのですが、わからないまま契約してしまっているのであれば、事前に時間をかけてもある程度はしっかりと理解しておくべきだと思います。
不動産の価格って、交渉次第でけっこう動いたりするものだと思います。例えば3000万円の中古マンションが、2800万円になったりすることもけっこうあると思います(200万円違えば、パソコン何台買えるでしょうか?)。新築の場合、価格交渉はかなり難しいかもしれません(新築の価格には、もちろん広告宣伝費、セールスマンの人件費、等々が含まれているわけです)。しかし、新築にこだわらなければけっこう交渉次第で変わる世界だと思います。
当初の提示価格はあくまで売り手のオファープライスなので、買い手としてのビッドプライスを提示して、そこから交渉していけばいいのだと思います。
ちなみに、会社のある先輩がマイホームを買おうと検討中、とのことだったので、この本をお貸しして読んで頂いたところ、「もう一度検討しなおしてみることにした」とおっしゃっていました。
この本をベースに、全面的に書き直した以下の本が出ているようです。こちらは読んだことないのですが、おそらく同じようなことが書かれているのでしょう。今から読むのであれば、こちらの方がいいかも知れません。
不動産でハッピーリッチになる方法
山崎 隆
DCF的な発想ってどんな発想ですか?
DCF(Discounted Cash Flow)というのは、ある企業(または資産など)が将来にわたって生み出すキャッシュフローを現在価値に換算して足しあげ、その企業(または資産など)の価値を評価する方法のことです。
具体例を使いながら説明してみます。
お金というのは、その大小を判断する場合、同じ時点で比較しなければ意味がありません。例えば、「現在の100万円」と「1年後の102万円」のどちらが価値があるでしょうか。
これだけでは問題に答えることができません。金利水準に応じてどちらが価値が大きいかが変わってしまうからです。
例えば、1年の定期預金金利が3%だった場合、現在の100万円は1年間定期預金に預けることによって、1年後には103万円になります。ということは、1年後の103万円と102万円の比較になるわけですから、どちらが大きいかは一目瞭然です。この1年後の価値のことを一般的には、将来価値と呼んでいます。
また、1年の定期預金金利が1%だった場合には、「現在の100万円」は1年後には101万円にしかなりません。ということで、「1年後の102万円」と比較したら、「現在の100万円」の方が価値が小さいことがわかります。逆に言うと、「1年後の102万円」は、現在価値に換算すると、「100万9901円(=102万円 / (1 + 0.01))」になるわけです。
つまり、異なる時点におけるお金というのはそのままでは足し算、引き算しても意味がないので、すべてをある時点における価値に換算してから比較したり、足したり、引いたりするわけです。
このような考え方で不動産を評価することを考えます。もうお分かりだと思いますが、不動産(マンション、一戸建てなど)を誰かに貸した場合、毎月家賃が発生します(逆に言えば、誰にも貸さず、自分でも使わなかったら何の収益も生みません。むしろ固定資産税を払わなければならない分、コストがかかります)。これが将来にわたるキャッシュフローです。これらのキャッシュフローをすべて現在価値に換算して足しあげたものが不動産の価値である、と考える発想がぼくが書いた「DCF的な発想」の意味です。
上では簡単のため、1年の定期預金金利を使って説明しましたが、実際には、企業を評価する場合は資本コスト、不動産を評価する場合はキャップレートと呼ばれるものを使います。
詳しくて正確な説明は他に譲りますが、なんとなくのイメージをご理解頂けましたでしょうか。