佐藤可士和の超整理術
佐藤 可士和
アートディレクター/クリエイティブディレクターという職業の佐藤可士和さんによる超整理術に関する本です。超整理術といってもノウハウ本という感じではありません。むしろ佐藤さんの仕事への取り組み方、考え方などをまとめた本といった方がなじむかもしれません。
アート?クリエイティブ?なんて言葉を聞くとどうしても右脳重視の方なのかなぁ、なんて思ってしまいがちですが、読んでみると、非常に論理的に物事を考えていかれる方だということがわかります。
例えば、次のまとめ方。
- 空間の整理……整理するには、プライオリティをつけることが大切
- 情報の整理……プライオリティをつけるためには、視点の導入が不可欠
- 思考の整理……視点を導入するためには、まず思考の情報化を
P.210
これを逆から読んでいくと、時系列になって
思考を情報化することによって、視点を導入することが可能
→視点を導入することによって、プライオリティ付けが可能
→プライオリティをつけることによって、整理することが可能
となって、非常にロジカルに書かれていることがわかります(わざわざ逆にしなくても自明ではありますが)。
“空間”整理のポイント
- 定期的にアップデートする→モノを増やさないため
- モノの定位置を決め、使用後はすぐに戻す→作業環境をすっきりさせるため
- フレームを決めてフォーマットを統一する→わかりやすく分類するため
“情報”整理のポイント
- 視点を引いて客観視してみる
- 自分の思い込みをまず捨てる
- 視点を転換し、多面的に見てみる
“思考”整理のポイント
- 自分や相手の考えを言語化してみる
- 仮説を立てて、恐れずに相手にぶつけてみる
- 他人事を自分事にして考える
空間→情報→思考と階層が分かれているのですが、そのそれぞれに対して上記のようなポイントをまとめられています。
いずれも重要な点ではあると思いますが、中でも”情報”整理のポイントの3点は非常に重要だなぁ、と思いました。詳しくは本文で述べられていますが、ビジョンを大切にし、そもそも何なんだっけ?という点を、自分の先入観を捨てて、客観的、俯瞰的に捉えなおしてみる。そして、その際に、多面的な視点で捉えようとする、というあたりは非常に大切なのではないかと思いました。
このあたりはMBAで学んできたこととも共通するのではないかと感じています(これについては後日書きたいと思います)。
おそらく、仕事を優先するあまり、机周りの整理は後回しになってしまうのでしょう。でも、それでは順番が逆なのです。まず、仕事をする場所をすっきりさせることが、仕事の効率をアップさせることにつながるのです。 P.70
いろいろ本を読んでいると、多くの方が異口同音にこのことを言っている気がします。
整理を後回しにして、効率が低い状態で仕事を行うか、
当初の一定時間を投資して整理し、その後効率的に仕事に取り組んでいくか、
どちらを選びますか?という話です。
“ある投資家”としては、もちろん後者のスタイルを取ろうとしていますが、未だに完全には移行しきれていなかったりします。すこしずつ改善していければと思っています。