もう10日ほど前の話ですが、以下のような記事を読みました。
【緯度経度】“英語国家”夢見る韓国 ソウル・黒田勝弘
日本人と韓国人はどちらが英語が上手か?
(中略)
ところで韓国が今、英語で大騒ぎしている。韓国をいわば“英語国家”にしようという国家的計画が持ち上がっているのだ。この“英語騒動”に二十数年前のエピソードを思い出したのだ。
2月25日にスタートする李明博次期政権は「英語公教育」論を前面に打ち出し、学校での英語教育強化を大々的に進めると発表した。たとえば小学校から学校での英語教育をしっかり実施し、英語の授業はすべて英語でやるとか。さらに英語の授業だけでなく、他の科目も英語でやるべきだ…とか。
あるいは大学入試などで「国家英語能力試験」を別途に設けるとか。
“経済大統領”が看板の李明博次期大統領自身、「英語は国家競争力の基本」「英語がうまくなれば暮らしも豊かに」として「断固実施!」を宣言。首相格の李慶淑・政権引き継ぎ委員会委員長(女性)も「米国で“オレンジ”と言ったら通じなかった。“アリンジ”と言えるようにしたい」と笑わせながら、英語教育強化を強調して回っている。
しかし早速、問題になっているのが「英語の授業を英語でやれる教師」をどう集めるか。
(後略)
ということで、韓国では国家レベルで英語教育に取り組んでいるようです。引用記事の冒頭に「日本人と韓国人はどちらが英語が上手か?」という問いがあり、記事の中では「韓国人の方がうまいのではないか」と書かれています。
確かに、韓国人の方がうまいような気はします。ただ、ぼくが1年半ほどMBA留学をしてみて、30以上の国から集まってきているクラスメイトを見ている限り、韓国人も、日本人も英語力に関して言えば最低レベルだと思います。英語力という点においては、南米やヨーロッパの非英語圏の人の方がはるかにうまいと思います(特定の人を指しているわけではなく、全体的な印象ですので、あしからず)。
でも、これはある意味当たり前のことだと思います。だって、韓国語も、日本語もアルファベットは使わないわけですから。そもそも、日韓共に、アルファベットの音を知りません。音の種類、複雑さという意味では韓国語の方が若干上のようですが、それでも南米やヨーロッパ系の人と比べたら、比ではありません。
以前、韓国人のクラスメイトと”adapt”と”adopt”の発音の違いって、よくわからないよね?という話で同意していたところ、フランス人のクラスメイトに、「なんで違いがわからないの?そんなのハッキリしているじゃない?」みたいなことを言われた覚えがあります。ぼく(ら?)の英語力なんて、その程度です。
まあ、これは一例ですが、こんなことはしょっちゅうあるわけです。
そして、そのほぼ同じレベルだった韓国が国家レベルで英語教育に熱心に取り組んでいるというのが上で引用した記事です。もちろん、英語教育に熱心になりすぎていろいろな弊害が起きるなどの可能性はありますが、新しいことをやろうとする際には、短期的なメリット・デメリットのみならず、長期的なメリット・デメリットもあわせて考える必要があるかと思います。
日本は現在のままだと、長期的には人口が減少し、高齢化が進み、医療、社会保障負担が増加することによって個人消費が冷え込み、経済成長が停滞するどころか、縮小していく可能性が高いのではないでしょうか。ぼくは経済の専門家ではありませんので、間違っているかもしれません。しかし、専門家の方も同じような指摘をされているようです。
例えば、野口悠紀雄さんは、「資本開国論」という本の中で、「オフショアリング」という概念を説明されており、新しいグローバリゼーションでは「労働」と「資本」という生産要素が直接に国境を越えることを説明されています。一例として、「コールセンター」を挙げて、アイルランドやインドの急速な経済成長の一因は、アメリカなどからのコールセンター業務の受注などが大きいとしています。そして、日本は英語という言葉の壁があるために、オフショアリングによるグローバリゼーションは難しい、と。
そういったことを考えると、日本も国家レベルで英語教育をどのように行っていくのか、真剣に考えていく必要があるのではないかと思います。少なくとも、ぼくは国としての英語教育に関する方針というか、戦略といったものをほとんど目にしたことはありません。
20年後、50年後に、日本が、極東でローカルな言語を話して、経済的にも停滞しているような元気のない国になっていないことを望みます。
以下、このブログで書いた英語関連のエントリの主なものです。意外とたくさん書いてますね。
日本は情報鎖国をしているのでしょうか
英語の難しさ
英語教育 その2
英語教育
アメリカ英語とイギリス英語
英語の発音
そういえば、昨日クライアントと電話会議をしていたのですが、日本に関する話の中で、「ライクン」「ライクン」と連発していました。しかも、「有名だから知っていると思うわ」とまで言われたのです。何のことかわからなかったのですが、どうやら「Riken」つまり、「理化学研究所」のことだったようです。「ウィーン」と「ヴィエナ」くらいの衝撃でした。