イスラム金融にもデリバティブがあるらしい

最近、やたらイスラム金融に関するニュースが駆けめぐっていますが、イスラム金融にもデリバティブがあることがわかりました。
日経ビジネスの「イスラム経済思想は日本を救う」には、以下のようにあったので、デリバティブはないのだろう、と思っていました。

その一方で、先物やデリバティブは禁止されている。「ラクダ売買の時に胎内にいる子供も見込んで売買してはいけない」と表現される先物の禁止規定があるためだ。実態の無いデリバティブも同様である。

もとの記事はこちらから。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20071011/137313/
ところが、International Herald Tribune の以下の記事にはデリバティブに関する記載があるではないですか。長いので一部引用。

Islamic banking rises on oil wealth, drawing non-Muslims
By Wayne Arnold    Published: November 22, 2007
KUALA LUMPUR: Rising oil wealth is lifting Islamic banking – which adheres to the laws of the Koran and its prohibition against charging interest – into the financial mainstream.
Big banks, including Citigroup, HSBC and Deutsche Bank, as well as financial capitals like London, Tokyo and Hong Kong, are all going into the Islamic banking business. An estimated 300 Islamic financial institutions hold at least $500 billion in assets, an amount that is increasing more than 10 percent a year.
In addition to Islamic loans, there are Islamic bonds, Islamic credit cards and even Islamic derivatives. Loans and bonds that conform to the Koran are already available in the United States. And Britain, Japan and Thailand are contemplating issuing Islamic bonds of their own.
(中略)
そして、デリバティブに関する部分はこちら。
Because Islamic financial transactions must have an underlying asset, Islamic bankers tend to have high exposure to real estate and construction projects.
Hedging that exposure is difficult; though Islamic derivatives exist, scholars differ on whether they are permissible under the Koran.
(後略)

もとの記事はこちらから。
http://www.iht.com/articles/2007/11/22/business/islamic.php?WT.mc_id=rssfrontpage
基本的な発想として、実体の伴わない取引は禁止されているようですが、学者の間で見解が異なるらしく、認めている人もいるようです。
そこで、「イスラム金融、デリバティブ」で検索してみたところ、財務省委嘱研究会が作成したイスラム金融に関する報告書を発見しました(これはけっこう詳しくまとまっているので、わざわざイスラム金融に関する本を注文する必要がなかったかも、、、)。それによると、以下のような記載があります。

各地でイスラム金融のデリバティブ取引が散見されるようになってはいるが、全面的に是認された訳ではない。オンバランスの金融取引同様、シャリア学者間の解釈も分かれているほか、今のところマレーシアやドバイといった、シャリア解釈に比較的柔軟な地域で盛り上がっている感がある。
(中略)
こうした中で、イスラム式デリバティブ取引の着実な発展を図るべく、一般のデリバティブ取引の業界団体であるISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)とIIFM(国際イスラム金融市場。バーレーンに拠点を置く国際機関)は、イスラム・デリバティブのドキュメンテーション(約定関係の書類形式)の共同開発につき、覚書を締結した。こうした試みにより、イスラム・デリバティブの相対取引が容易になると考えられる。

財務省のページ(https://www.mof.go.jp/index.htm)から、
トップ > 外国為替・国際通貨制度、国際協力 > 委嘱調査・研究会 > 委嘱研究会(2006年度) > イスラム金融研究会
とたどって行くと、「イスラム金融研究会」というページにたどり着きます。
ISDAがひな型を作り始めているということは、何だかんだいって徐々に普及していくのかもしれませんね。気づけばイスラム金融のデリバティブ市場が急成長、なんてことになるかもしれません。実際、クロス・カレンシー・スワップ取引などの取引実績もちらほらあるようですし。
今後、どうなっていくんでしょう。

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