今学期はエレクティブでリアルオプションを選択したので、手始めに1冊読んでおこうと思って読んでみました。リアルオプションの本というより、リアルオプションに関連する計算方法を紹介した本という印象でした。
リアル・オプション―投資プロジェクト評価の工学的アプローチ
今井 潤一
例えば、無裁定条件、完備市場、確率空間、伊藤の公式、幾何ブラウン運動、停止時などについての予備知識がないとこの本だけを読んでも全く理解できないものと思われます。(リアルオプションに対する意味での)ファイナンシャルオプションの評価理論に関する理解がないと、この本を理解するのはかなりしんどいでしょう。
また、リアルオプションの事例についてたくさん載っているわけでもないので、あくまでリアルオプションまわりの数学および計算手法について知りたい場合にはよいかと思います。しかしながら、数学的に細かく厳密に書いてある本と言うわけでもないので、その点には注意が必要です。
最後に「競争状況下でのリアル・オプション」というタイトルでゲーム理論の枠組みを導入して書いてあるので、考え方としては参考になるかと思います。ほとんどの企業は競争状況下にあると考えるのが妥当でしょうから。ただし、筆者も書いている通り、現状ではこのようなモデルは定性的な分析に留まっているようなので、実務的に利用することはまだ難しいようです。
少し数学的な側面が強すぎました。まあなんとなく分かってはいたのですが、ちょっとぼくのニーズとは合ってませんでした。