住宅ローンの(秘)新常識 長期固定に繰上返済はトクしない!?
池上 秀司
昨日、繰り上げ返済をした後に、本屋で見つけました。
「住宅ローン」とタイトルにはありますが、不動産投資におけるローンについてもそのまま適用できる内容が書かれていて、かなり参考になります。そして、負債側のみならず、資産側とのバランスを考慮された形で書かれています。つい先日も書きましたが、手元に100万円あった場合に、繰上返済するか、何らかの運用にまわすかを、同等の選択肢として検討するという発想が重要だと思います。
住宅ローンというのは数千万円もの借り入れですから、不安になるのは当然です。ただし、「みんながそうしているから」と、安易な「常識」に流れて、「トクしたつもりでソンしている」人のいかに多いことでしょうか。 P.4
(気の毒なのは、たまに出ていく手数料を惜しんで、毎月の利息を余計に払っていることに気づけない人です)
なかには「長期固定ローンで繰上返済手数料ゼロ」とアピールしているローンがありますが、直近で金利上昇すると予測して長期固定を選ぶのであれば繰り上げはしないほうがいいわけです。表面的な数字のおトク感にまどわされて、じつはソンしないように気をつけてください。 P.138
払う必要がないものを払ってしまっている人ってけっこういるのではないかと思います。近視眼的にならないように気をつけたいと思います。
本書は、従来の住宅ローンに関する書籍と違い、「これがおトク!」「こうしなさい」といった押し付けはしません。ただ、世間にはびこっている「常識」だけが「正解」ではないということを言いたいのです。 P.5
本当にその人に合った「トクする」方法は、その人自身でしか見つけられないのです。 P.6
言い切り型ではないところもいいですね。多くの視点を提供しながら、さまざまな選択肢を検討して自分に合った解を見つけてください、的な書き方がいいと思います。あらゆる読者に対して、画一的な解があるとは思えないですし。
金利上昇を予測して長期固定のローンを選ぶなら、繰上返済をするより、そのお金を運用したほうがいい。 P.26
基本的な考え方はこうなんですが、現時点においてどのような運用先があるかどうかは、悩ましいところかと思います。
このように計画はその時々で変化して当然ですから、借り入れ当初の総返済額での比較は実質的に意味を持ちません。じつはファイナンシャル・プランニングにおける「常識」には、借入当初の総返済額で損得を考える偏った考え方によって断定されていることが往々にしてあります。本来はさまざまな角度から検証するべきなのです。 P.31
やはり定期的に見直していくことが重要なんだと思います。前提条件が変われば、変更していく必要はあるでしょう。一方で、変更するために発生する費用もきちんと考慮に入れる必要があるでしょう。
利息は、金利のみならず借入残高にも比例します。つまり残高(=元金)が減れば、利息も減るというわけです。
現状から考えれば、将来金利が上がるということは避けられませんが、将来であるならば、借入残高は減っています。それなのに、一般的には金利が上がるというマイナス面だけを取り上げて、一方では借入残高の減少を一切無視して考えています。これが多くの人が長期固定以外のローンを不安視する要因です。金利は上がったり下がったりしますが、借入残高は下がる一方だということを忘れないでください。 63
いつまでも同じ残高ではないところがポイントですね。10年後に金利が5%になっていたとしても、その時の残高は順調に返済しているのであれば今と比べて確実に少ないわけですから、影響はそれほど大きくないのかもしれません。
保険会社からたくさんの給付金を受け取るということは、すなわち医療費がたくさんかかるということです。人生にとっては、「保険会社からあまりお金をもらわない状態」のほうがいいはずです。基本的に、保険というのは「安心」を買うわけですから、何度も言うように損得で考えるべきではなく、特に医療保険というのはむしろ「損したほうがいい」のです。 P.177
医療保険についてはまさにその通りだと思います。何も病気をしなかった場合に一時金が出たり、貯蓄性を伴う商品もあるかと思いますが、保険はあくまで保険として割り切った方がよいと思います。病気をせずに保険金を受け取らない場合がもっとも幸せに違いないですし。保険と資産運用は切り離してしまった方が複雑にならなくてよいと思います。
住宅ローン(およびアパートローン)についての考え方をさまざまな視点から提供してくれるこの本は、ローンを検討中もしくは抱えている方にはかなりオススメです。一時点での判断ではなく、トーンの残存期間にわたって、どのように考えていくのがよいのか、という考え方を理解することができるかと思います。これで1300円(+税)はかなり割安な投資になるのではないかと思います。
ということは平日に一冊の本を一日で読みきったんだね。すごい。
平日といっても、夏休みで会社を休んでいたので。