何の話かというと、IPOによる調達額の話です。ドメスティックと思われていた株式市場もグローバル化が進み、多様な株主に投資機会が提供されるようになってきているわけですが、そうした中、証券取引所の国際競争はますます激しくなっています。
New York IPOs eclipse LSE offerings
By Anuj Gangahar in New York
Published: January 2 2008 20:52 | Last updated: January 2 2008 20:52
The amount of money raised through initial public offerings in New York last year surpassed London for the first time in three years, reaching the highest levels since the internet boom.
About $54bn (€36.6bn) was raised in 2007 on the NYSE and Nasdaq combined, according to Dealogic, the data provider. In London, debuts on the London Stock Exchange and Aim combined raised $52.2bn.
However, London eclipsed New York in terms of the number of companies that came to market last year, with 241 deals compared with 220 in New York.
The LSE recently issued figures that showed it had outperformed its US rivals in attracting foreign IPOs last year. By December 14, the LSE said it had attracted 86 IPOs from 22 countries last year, raising £14.5bn (€19.5bn). The LSE said this was double the £7bn raised in offerings by non-US companies on the NYSE and Nasdaq combined in the same period.
(後略)
Copyright The Financial Times Limited 2008
もとの記事はこちらから。
http://www.ft.com/cms/s/0/edacd3d2-b972-11dc-bb66-0000779fd2ac.html
日本も昨年末のニュースを見る限り、東京を国際的な金融市場として競争力を高めていこうとしているようですが、ニューヨークやロンドンと比べたら、とんでもなく遅れている気がします。しかも、両方とも地元民は英語ネイティブの人たちです。本気で肩を並べたいのであれば、相当な努力が必要になってくるのではないでしょうか。
UPDATE1: 金融庁が東京市場の強化策、総合取引所は09年の通常国会提出へ
東京市場をニューヨークやロンドンに並ぶ国際的な金融市場にすることを目指し、1500兆円の個人金融資産の投資機会を提供するとともに、海外からの投資マネーの引きつけを図る。
また、次の記事には以下のような記述がありますが、結局は英語がけっこうボディブローのように効いてくるのではないでしょうか。やはり国民全体の英語力を本気で上げていく必要があるのではないかと、ぼくは思います。
総合取引所の創設検討 金融庁が市場競争力強化策
また、金融関係法令の英語訳推進や、外国会社の英文開示の対象拡大なども盛り込み、海外からの日本市場に対する進出を促す。
昨年、課題で日本を含めた国際比較を行いました。業界団体がまとめたレポートや統計資料などを参考に比較を行ったりするのですが、日本の場合、なかなか英語版が用意されていないのです。問い合わせてみたところ、「数年前までは英語版も用意していたが需要がなかったので作成を停止しました」とのこと。すると、日本語ができない一般的な外国人からは日本の業界に対する情報が取得できないわけで、そうすると必然的に深く調べようとした時の障害になりうると思います。今後経済が急速に成長していくような国ならともかく、そうでない場合は自国の存在をもっとアピールしていく必要があるのではないかなぁ、と思います。
もちろんやさしい問題ではありませんが。
ちなみに、以前書いたIPOおよびcross listingの関連エントリはこちらです。
Motivation for cross listing
IPO時における取引所の選択基準