人物をつくる―真の経営者に求められるもの
北尾 吉孝
「何のために働くのか」、中国古典からもらった「不思議な力」に続いて、また北尾さんの著書を読んでみました。書かれた順番としては遡っている気がしますが。
上記の2冊と、基本的には同じようなことが書かれています。ただ、この本はどちらかいうと、サブタイトルの通り、経営者という視点で書かれていることが多少異なるかと思います。
仏教の世界では「出家しよう」「仏道に入ろう」と発心したら、今度は決心をします。
決心をする人は少なくありません。しかし、決心をしてもそれが続かない人が多いのです。この決心をして続ける心、これを「相続心」と言います。 P.31
松下幸之助さんは、次の二つが大切だと言っておられます。
一つ目に、天分を発見しようという熱意、意思。それを強く持つことが非常に大事です。
二つ目に、素直な気持ち。この素直な気持ちがなければ、多くの場合には自分を買いかぶったり、あるいは人から何か勧められてもそれを曲解します。素直な気持ちがなければ、天分を発見することができなくなります。 P.54
例えば、人間味や人格に関わる部分、そのようなものを指導者の条件としてむしろ先に挙げるのではないかと考えるわけです。
なぜこのように情的な、ソフトな資質条件を優先するのか。
僕は、知的な、ハードな指導者の資質条件というものは、それを持っている人物が周りにいれば良いのではないか。すなわち、自分よりも優れた資質を持っている人物に周りに集まってもらえるようになれば良いのではないかと思います。 P.80
「松下幸之助の哲学」
松下幸之助さんは、そのような次元を超越して、消費者、生産者というものを原点から見つめ直し、「どうすれば社会というのは繁栄するのだろうか」「どうすれば人間というのは幸せになれるのだろうか」を考え抜いてきた人なのだろうと思いました。 P.157
この本を読んで、松下幸之助さんの偉大さを改めて認識しました。