バリアンススワップとは?

以前、「タキシードとバリアンススワップとラテンパーティー」というわけのわからないタイトルのエントリを書きましたが、そもそも「バリアンススワップとは何か」について、ご存知の方は少ないと思いますので、簡単に説明を書いておきます。
ただし、少し専門的過ぎる話ですので、ご興味ない方は飛ばされた方がよいかと思います。
一言で言ってしまえば、「バリアンススワップというのは、ボラティリティの2乗であるところのバリアンスについてのフォワード契約(先渡契約)」です。金融派生商品(デリバティブ)の一種で、投資銀行やヘッジファンドなどの機関投資家間で取引が行われています。2000年以降くらいから、少しずつ取引されるようになって来ている商品です。
ということで、まずフォワード契約とは何かをご説明します。これはあらかじめ定めた価格でもって、将来のある時点において売買する契約のことです。例えば、ガソリンを買う場合を考えてみます。ある時、1リットル100円で売られていたとします。将来、価格が上がりそうだからできるだけ買っておきたいけど、そうは言っても車のタンクの容量は有限です。多めに買って、家で保存しておくというのは難しいでしょう。そこで、3ヵ月後に50リットルのガソリンを1リットル当たり100円(フォワード価格。ここではたまたまスポット価格=フォワード価格としていますが、一般には必ずしもそうではありません)で買う契約をガソリンスタンドの人と結んだとしましょう。すると、3ヵ月後に5000円払って、50リットルのガソリンを受け取ることになります。
実際、3ヵ月後のガソリン価格が1リットル当たり120円であれば、このフォワード契約をした人は、受け渡し時点において120円のものを100円で買えるわけですから得をしたことになります。また、3ヵ月後にガソリン価格が1リットル当たり80円になっていたら、受け渡し時点において80円のものを100円で買わなければならないので、この人は損をしてしまうわけです(買うという契約なので破ってはいけません)。
こうすることで、何がうれしいかというと、将来の価格変動リスクをヘッジ(回避)することができるわけです。つまり、3ヵ月後の価格が上がっていようと、下がっていようと、1リットルあたり100円で買うという約束をしたので、価格を現時点でもって確定させることができるわけです。これがフォワード契約です。
では、バリアンススワップとは何なんでしょうか。おそらく最もポピュラーなのは株価のボラティリティに関するものだと思われますので、まず「株価のボラティリティとは何か」をご説明します。
例えば、株価が次の表のように推移したとします。
volatility.JPG
すると、日次のリターンは、
当日株価 / 前日株価 – 1
という式で計算することできます。例えば、9日目から10日目へのリターンは、
501 / 495 – 1 = 0.0121 = 1.21%
と計算することができます。上の表にある、このリターンの標準偏差(ただし、年率換算したもの。例えば√250などを乗じます)を計算したものをボラティリティ、分散をバリアンスと呼んでいます。この場合は、ボラティリティが0.2151、バリアンスが0.0463となります。
バリアンススワップとは、このバリアンスに対するフォワード契約です。上の表を使って説明すると、1日目においてバリアンススワップ契約を結んだとします。フォワード価格(行使価格という表現の方が適切な気がしますが、、、)が0.0400のバリアンスだったとしましょう。このバリアンススワップの買い手は、20日後にバリアンスを0.0400で買うという契約を結んだわけです。ここでバリアンスを買うというのは、バリアンスの数値に対応するお金を受け取るという意味です。
そして、実際に20日後になって、計測期間のバリアンスを計算してみたところ、0.0463になっていました。バリアンススワップの売り手は、買い手に対して0.0463を支払い、買い手は売り手に対して0.0400を支払うわけですから、結局のところ、バリアンススワップの売り手が買い手に対して0.0063(= 0.0463 – 0.0400)だけ支払うことによって、このバリアンススワップ契約は終了します。
ガソリンの場合と違って目に見えるものを受け渡しするわけではないので、わかりづらいかもしれませんが、これがバリアンススワップ契約の最も基本的なものです。主にはオプションの投資家(ヘッジファンドなど)がベガのヘッジ目的、もしくは純粋にボラティリティの方向性に賭ける目的で取引していると思われます。
わかりやすく書いたつもりですが、わかりづらいかもしれませんね、、、
金融商品として、このようなものもあるということで。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です