日経不動産マーケット情報に以下のようなニュースが掲載されていました。日本初、アジア発の不動産デリバティブ取引が行われたようです。
英グロブナー、日本の不動産を対象にデリバティブ取引を実施
2007.08.10
英国の大手不動産会社、グロブナーは2007年7月、日本の不動産を対象としたデリバティブ取引を実施した。IPDジャパン(本社:港区)が国内のREIT保有物件の運用収益を基に算出している不動産インデックスを指標としたもので、両社によると日本初の不動産デリバティブ取引だという。取引は英ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)が仲介した。
記事は以下のページから。
http://nfm.nikkeibp.co.jp/fa/members/news/20070809/510500/
以下の IPD および Grosvenor のサイトに、より詳細が掲載されています。
http://www.ipdindex.co.jp/library/letter/026.html
http://www.grosvenor.com/NR/rdonlyres/131820C6-2286-46A4-8013-9C011873D0F9/4801/070726JapaneseDerivsRelease_Final_.pdf
IPDインデックスを基にしたトータルリターンスワップということで、英国では主流の取引形態だと思われます。IPDインデックスは不動産インデックスの中ではメジャーなもののようで、不動産を原資産としたリアルオプションのボラティリティ算出時にも参考として使われることがあるということを今学期のリアルオプションの授業で勉強しました。株式と異なり、不動産の場合、同じもの(例えば、丸ビル、とか)が頻繁に取引されることはないので、リアルオプションのためのボラティリティ算出が非常に難しいわけですが、このようなインデックスを計算することで、少なくともある程度の目安を与えるという役割を担っているものと思われます。
少し話がそれてしまいましたが、不動産デリバティブ、日本でも普及していくのでしょうか。機関投資家にとっては、不動産のエクスポージャーが取りやすくなるという意味において、投資機会が提供されるので一定のメリットはあるかと思いますが、英国と違って日本の場合はREIT市場が先に普及しているので、単純にエクスポージャーを取るという点のみならず、デリバティブ特有の魅力がないとなかなか普及は難しいような気もします。最も、デリバティブ特有の魅力を出そうとすると、取引が複雑になってしまって、取引自体が難しくなってしまう可能性もありますが。
一方で、REIT(およびそのインデックス)を原資産としたエクイティデリバティブという形で、不動産デリバティブにかなり近いことはできそうな気もしますが。
いずれにしろ不動産と金融の融合は今後も進んでいくのでしょうね。