アントレプレナーシップのグループレポートで、自分の担当分がとりあえず終わりました。今後、まだ修正の可能性はありますが、とりあえず形にはなったのでホッとしています。締め切りまでまだ3週間もあることですし。
で、今回は、ベンチャーキャピタルの日英比較をテーマに書くことにしました。一般的にベンチャーキャピタルについてどのようなイメージをお持ちかわかりませんが、簡単にベンチャーキャピタルを説明すると、創業後、ビジネスを拡大しようとする際に必要となるある程度まとまった資金をエクイティ(オーナーシップ)という形で提供する投資家(実際にはエクイティのみならず、ローンなど多様な形で提供することもあります)、という形で説明できるかと思います。
創業時にキャピタルを提供するベンチャーキャピタルもありますが、多くのベンチャーキャピタルはある程度売上げが発生していてキャッシュフローも黒字になりつつあり、これから事業規模を拡大するためにまとまった資金が必要な時期の企業を対象にリスクキャピタルを提供しています。
創業時はアントレプレナー(起業家)本人、その家族、親戚、知人などから資金を集めることが多く、これらは4F(Founders, Family, Friends, and Foolhardy investors)と呼ばれています。そして、その後ベンチャーキャピタルが登場するわけですが、ベンチャーキャピタルはある程度まとまった資金を提供すること、成長性の高い企業に投資すること、などからあらゆる企業に適切な投資家というわけではありません。
そこで登場するのがビジネスエンジェルと呼ばれる人たちです。この人たちは、自ら企業経験がある人が多いようですが、4Fからベンチャーキャピタルへのギャップを埋めてくれるような存在で、エクイティという形でリスクキャピタルを提供します。
もちろん、起業家の誰もがビジネスの拡大を望んでいるとは限りません(従業員という立場ではなく起業家という道を選ぶ強い動機の一つが、自ら裁量を持って支配することができるという独立性なのだそうです。もう一つの大きな動機は金銭的なものですが。)が、資金を欲しがっているベンチャーは数多くいると思われます。
そういった企業に対してビジネスエンジェルの果たす役割は大きいわけです。先日、日経BPで「思想なきエンジェル税制」という記事がありましたが、やはり制度的に使いづらい税制では利用者のインセンティブにはならず、結果として当初の目的である企業に対する資金提供ができていないのが日本の現状のようです。
エンジェル税制について一般的にはそれほど認識は高くないかもしれませんが、このような税制が国の経済全体にまわりまわって影響を及ぼす可能性が高いことを考えると、非常に重要な問題だと思います。2004年の時点で、「政府主導で、ビジネス・エンジェル・ネットワークの整備を」という記事が書かれているようですが、ビジネスエンジェルの重要性はまだまだ認識されていないのでしょうか。
ちなみに、このあたりの事情について、英語、日本語共にいろいろ検索してみたのですが、英語で書かれた日本の情報ってけっこう少ないですね。
例えば、Global Entrepreneurship Monitor (GEM)のサイトにGEM National Reportsという欄があり、国別のレポートが掲載されているのですが、 Japan を選択すると、なんと日本語で書かれたファイルがリンクされていました。これって一体誰向けの情報なんでしょうか。日本人向け?とか思いつつ、フランスとか、スペインのレポートもチェックしてみたところ、フランスはフランス語で、スペインはスペイン語で書かれていました。どこも同じなんですね。
でも、中小企業白書とかは英語版も用意されていて助かりました。英語圏の人からしても、日本の情報って意外と取りにくいのかもしれませんね。言うまでもなく、その他の言語圏の人からしたら、なおさらですが。