VCICというビジネススクールコンペティションの前に、タイトルだけ見て購入してみたのですが、今になってやっと読むことができました。
アントレプレナーの戦略思考技術―不確実性をビジネスチャンスに変える
リタ マグレイス イアン マクミラン Rita McGrath
「起業家的マインドセット」というビジネス思考法について書かれています。不確実性というものを有利に捉えるためのビジネス思考法、ということですが、要するにいかにしてビジネスチャンスを見出し、ビジネスモデルを構築していくか、その際のフレームワークのようなものを提供しています。
例えば、製品・サービスの差別化のために「Q&A法による顧客行動分析」、「消費チェーン分析」を行い、市場セグメンテーションの見直しのために「アトリビューション・マトリックスの設計」を行う、など具体的な形でどのようにビジネスチャンスを見つけていくかといったステップが説明されています。
先日読んだ「戦略「脳」を鍛える」はどちらかというと発想のための思考ツールを紹介しているといったイメージでしたが、これらのツールを使いながら本書で紹介されているフレームワークに沿って考えていくと取り組みやすいのではないかと思いました。
著者の主張は、本文中で述べているように「企業戦略論と新規事業論との境界が段々とぼやけたものになってきている」ので、「今日の事業環境においては、(中略) 新しいビジネスモデルを次々と提案できるような起業家型の組織を創り出す必要がある」という点だと思います。そういう意味では、この日本語のタイトルは「アントレプレナー”の”」ではなく、「アントレプレナー”的”」の方が適切であると思いました。
つまり、大企業の中にいたとしても、新しいビジネスチャンスを見つけ、そこからいかにしてビジネスモデルを構築するか、そしてそれを実現するための組織を構築するためにはリーダーは何をしていかなければならないのか、こういった考え方が書かれている本です。
ストラテジー的な部分のみならず、インプリメンテーションの部分も書いてあるのでバランスが取れている本だと思います。