マイホームを買うべきか? - 住宅ローン減税はどれほど得なのか

今回の税制改正で、一つの目玉と言われているのが過去最大規模の住宅ローン減税だと思いますが、これは実際のところ、どの程度メリットがあるのでしょうか。
現実的な条件をあてはめてちょっと考えてみたいと思います。
平成21 年度税制改正の大綱
認定長期優良住宅を取得する可能性は低いと思われますので、一般的な住宅の場合で考えてみることにします。この場合、10年間で最大500万円の減税になるという話ですが、、、実際500万円も享受できるのでしょうか。
まずは対象となる物件の条件から。現行の住宅ローン減税制度の概要については以下のページに記載されています。
住宅ローン減税制度の概要
これによると、中古住宅の場合、床面積50㎡以上かつ築20年以内の物件が対象になるようですね。ぼくの場合、買うとしたら中古を考えているのでこの築20年という条件は重要です。2009年以降の住宅ローン減税の対象物件もおそらく同じ条件でしょう。
そして、住宅ローン減税の仕組みについて。まずは前回同様、専門家の方が書いた記事を参考にさせて頂きます。「住宅ローン減税とは」に始まり、2009年以降に適用される制度について説明しているページを見つけました(AllAboutさん、いつも参考にさせて頂いています)。
2009年からの住宅ローン減税

最高控除額500万円ということが、大々的に報道されていましたが、最高控除額を受けるためには、10年間を通して年末残高が5,000万円以上なくてはなりません。上記の表を見てもわかるように、4,000万円の借入れでも、10年間で受けられる控除額の合計は360万円程度。3,000万円の場合には、270万円程度です。10年後も残高が5,000万円以上あるのは、約6,200万円の借入れをした場合です(金利3%、35年返済の場合)。

制度全体はリンク先をご覧頂くとして、まさにここがポイントだと思います。最高控除額500万円を享受しようと思ったら、10年後にローン残高が5000万円なければなりません。
金利3%、35年返済の場合で約6200万円になるようです(もう少し正確には6160万円くらいだと思います)。6200万円の借り入れって、結構な額だと思います。これだけの借り入れをしてマイホームを購入する人って、一体どのくらいいるのでしょうか。
ここでは、金利をいろいろ変えて計算してみたいと思います。
より実践的な例として、中央三井の住宅ローンから数字を取って計算してみたいと思います。
ここでの基本的な作戦は、当初10年間は繰り上げ返済を行わず、固定金利で借り入れ、10年後ローン控除がなくなったと同時にできるだけ繰り上げ返済してしまおう、と考えることにします。ちなみに、ローンの期間は35年としておきます。
ということで、10年固定金利で考えます。
まず全期間一律優遇プランの場合を考えてみます。

全期間一律優遇プランの場合
10年固定金利は2.40%です。
この場合、約6300万円借り入れると、毎月の返済額は22万1860円となり、10年後のローン残高がほぼ5000万円となります。この間に支払った金利分は約1364万円です。

では、次に当初期間優遇プランの場合を考えてみます。

当初期間優遇プランの場合
この場合、10年固定金利は2.15%です。
この場合は、約6360万円借り入れると、毎月の返済額は21万5612円となり、10年後のローン残高がほぼ5000万円となります。この間に支払った金利分は約1228万円です。

10年後に金利がどうなってるかわかりませんが、かなり上昇していたら、かなり嫌ですね。ローン残高が5000万円もあるわけですし。
ということで、最後に固定金利型でも計算してみます。

全期間固定金利の場合
35年の固定金利型では、2.87%となっています。
この場合は、約6190万円借り入れると、毎月の返済額は23万3754円となり、10年後のローン残高がほぼ5000万円となります。10年間に支払った金利分は約1615万円です。

当初期間優遇プランと比較すると、当初10年分の金利で400万円近く多く払うことになるようです。かなりの金額ですね、、、
全期間の金利リスクをヘッジできるわけですが、そのヘッジコストとしてはけっこうな額だと思います。
ただし、35年という長期にわたってローンを組むわけですから、その間に金利がかなり高い水準になるようなことがあれば、むしろ利益が発生することになります。
以前、繰り上げ返済についてちょこっと書きましたが、35年のうちのどこかで、もし金利が5%とかになったら(ここでの金利は調達側ではなく、運用側です)、その金利で手元資金を運用しつつ、住宅ローンの方は2.87%で借り続けておけばよいわけです(金利が上がると、不動産価格は下落することが予想されますが、、、)。
今後、金利が上がるか下がるか、ハッキリいって誰にもわからないと思います。今後1~2年で急激に上昇することは考えにくいと思いますが、10年後、20年後にどうなっているかはわかりません。ただ、今の水準から動くとして、金利の下がる余地はあまりなく、一方で上がる余地はそれなりにあるという点が重要なのではないかと思います。
話がそれてしまいましたが、減税制度自体でフルに恩恵を受けるのはやさしくなさそうですね。今回は触れませんでしたが、その人の所得税+住民税の合計が実質的な上限になってしまうわけですし。
ちなみに、いわゆる住宅ローン減税ではありませんが、登録免許税の軽減措置が延長されたことも見逃せません。

6 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する

こちらも重要だと思います。
不動産取得税の軽減措置は延長されなかったということなのでしょうか。こちらも延長されて欲しかったのですが。

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