クレデリまわりの言葉の定義

こちらのブログを読んでいたら、29日の日経新聞の経済教室およびクレデリの会計基準が取り上げられていました。
この経済教室の記事自体は、また突っ込みどころが多いような気もしますが、とりあえずおいておきます。
どちらかというと、上のブログで取り上げられていた「金融商品会計に関する実務指針」にあらわれるいくつかの言葉の意味がよくわからない、という話を書きたいと思います。

金融商品会計に関する実務指針 138項
「クレジット・デリバティブ及びウェザー・デリバティブのうちデリバティブの特徴を満たし市場価格に基づく価額又は合理的に算定された価額がある場合には当該価額をもって評価する。ただし、クレジット・デフォルト・オプションのうち市場価格に基づく価額がないものについては、債務保証に準じて処理する。」

ここで出てくる「クレジットデフォルトオプション」って、何を意味するのでしょうか。クレジットスワップション(クレジットデフォルトスワップのオプション)のことでしょうか。
WikipediaのCredit Default Optionを見てみると、

In finance, a default option, credit default swaption or credit default option is an option to buy protection (payer option) or sell protection (receiver option) as a credit default swap on a specific reference credit with a specific maturity.

http://en.wikipedia.org/wiki/Credit_default_option
とあるので、やはりクレジットデフォルトオプションは、クレジットデフォルトスワップそのものではなく、クレジットデフォルトスワップのオプション契約(クレジットスワップション)のことであるように見えます。
確かに、クレジットスワップションであれば、(少なくとも日本では)ほとんど流動性はないので、市場価格に基づく価額はないと思われます。
しかし、よくよく「金融商品会計に関する実務指針」を見てみると、次のような記述がありました。

金融商品会計に関する実務指針 226項(一部)
第三者(参照当事者)の倒産、信用格付けのダウングレードなどの信用事由が発生すると、現金の支払いまたは現物の受渡しが行われるものをクレジット・デフォルト・オプションという。

金融商品会計に関する実務指針を見る限りは、クレジット・デフォルト・オプションは、クレジットスワップションではなく、クレジットデフォルトスワップそのものを意味しているように見えます。
このあたり、実務経験の浅いぼくにはよくわからないところなのですが、歴史的にはいろいろ言葉の混乱もあったのでしょうか。
どなたかご存知の方いらっしゃいますか。
言葉の定義は認識が同じでないと、いろいろと混乱の元になるので注意が必要かと思います。
とりあえず、会社で誰かに聞いてみようかと思います。

4 件のコメント

  1. persian blue 返信

    いつも参考にさせて頂いております。経済教室の論文、突っ込みどころがたくさんありますね、、。CDSのことを昔はCredit Default Optionと呼ぶこともありましたので、実務指針の表現は古いですが、CDSのことを指しています。いわゆるCredit Swaptionとは別物ですね。

  2. yokoken 返信

    persian blueさん、コメントありがとうございます。
    経済教室を含む最近の日経の記事は、CDS関連の記事はCDSという言葉の定義を曖昧なまま使っている気がします。一方、実務をやっている人間からすると、定義はそれなりに明確なわけで、そのあたりが、つっこみどころが多いと感じる要因なのではないか、という気がします。
    さて、Credit Default Optionのご説明ありがとうございました。以前は、そういう表現もあったんですね。クレデリ関連の仕事をやるようになってまだ日が浅いので、まだまだ勉強の毎日です。
    また何かありましたらご教授頂けますと助かります。今後とも、よろしくお願い致します。

  3. persian blue 返信

    そうですね。言葉の定義をわかっていない人が書いていることが非常に多いと思います。マスコミも一流のコメンテーターの方も「CDSをたくさんやっている=危険」という先入観があるらしく、プロテクションを買っているのか売っているのか、リスクの高いものを参照しているのかリスクの低いものを参照しているのか、肝心な部分を見ようという発想がないようです。地道な啓蒙活動が必要という気持ちと、”論外な”人たちは相手にする必要すらないとう気持ちが交錯する日々です。

  4. yokoken 返信

    確かに、「CDSをたくさんやっている=危険」という感覚をお持ちの方が多いのかもしれませんね。しかも、原資産がABSなのか、Corporateなのか、とかそういった視点もなく、すべてごっちゃになってるようですし。
    一方的に悪者扱いするのではなく、せめて聞く耳は持って頂きたいですね。実務をやっている人間に少しでも話を聞いてくれればいいのですが。

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