上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件

昔から歴史は苦手で、それほど興味を持っていなかったのですが、上杉鷹山が以下のような人物であることを知って、これは読まねば!、と思い読んでみました。

アメリカのジョン・F・ケネディ大統領が生きていたころ、日本人記者団と会見して、
「あなたがもっとも尊敬する日本人は誰ですか」
と質問されたことがある。その時、ケネディは即座に、
「それはウエスギヨウザンです」
と答えたという。 P.14

上杉鷹山の経営学―危機を乗り切るリーダーの条件
童門 冬二
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おもしろいです。昔の藩の経営と、現代の会社の経営を比較しようと考えたことはありませんでしたが、ほとんど同じなんですね。同じと言うのは言い過ぎかもしれませんが、そのエッセンスの部分は相通ずるものがあると思いました。

「朝令暮改はけしからんとお前は言ったが、たしかにそういう解釈もあろう。しかし、私は誤って改むるに憚ることなかれ、という中国の古語を信じている。私は誤ったのだ。だからすぐそれを改めたい。憚らないわけではないが、さっきの決定は、禍根を残す。したがってやはり例外を作らないような方針で改革を実行したい」 P.95

「(略)改革を進めるのは、実に現場の人間たちである。その現場の人間たちに改革の趣旨や目的を説明しないで、何で改革を進めることができよう」 P.107

現場の人間をきちんと巻き込んで戦略を実行していくという話はブルー・オーシャン戦略にも出ていました。

鷹山の人間管理の原則は、
「してみせて、言って聞かせて、させてみる」
というものであった。何につけても理屈だけではない、よくその趣旨を説明し、趣旨を分かってもらったところで、今度は自分が実行してやってみせる、手本を見せてそれに従わせるというのが鷹山の方針であった。 P.129

鷹山のすごいところの一つは、何でも自らが直接してみせるところだと思います。そして、きちんと趣旨を説明する。こういったプロセスをきちんと積み重ねていくことがとても重要なんだと感じました。

「形式や外見に拘泥わって、用が無い時もあるように取り繕って、同役が顔を揃えておりますというようなことばかりが、従来この城でおこなわれてきた。これは人間の無駄であって、時間の無駄でもある。そして、使えば使える労力を、全く鈍らせている。人間は働かなくては生き甲斐を失う」 P.134

これなんかは官僚主義のひどい例であり、オペレーションの改善、従業員の意識の改革とみなすことができそうです。
どん底から這い上がる時に必要とされるリーダーの条件について、よく描かれた本だと思います。
話がそれますが、日本の歴史は長くカバーする内容が多いのかもしれませんが、けっこう突っ込んでその時代の様々な視点からの人間模様を勉強したら、もっと面白い科目になるような気がします。

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