春学期を振り返って

Diploma stage最後の春学期についてレビューしてみたいと思います。今学期の特徴は何と言っても、実際のクライアントに対して行った、ビジネスリサーチ(マーケティング)プロジェクトでしょうか。
1. Project 2
今までのグループワークと異なりチームのメンバーは自分たちで決定し、どのプロジェクトを行うかは同じプロジェクトを希望するグループ間でクライアントに対するビッド競争で決まります。ビッドと言っても、今回は各チームごとにクライアントと10分間のミーティングを行うだけですが。
ぼくらのチームはイギリスの大手金融機関を相手にビジネス機会の探索というテーマで行ったわけですが、最も難しかったのはプロジェクトのスコープを明確にすることでしょうか。どのようなアウトプットをクライアントが求めているのか、それを得るためにどのようなプロセスで評価していかなければならないのか、このあたりに関するコンセンサスを得るのが大変でした。チーム内でも理解度や解釈が異なっていたり、クライアント、アドバイザーであるチューター(教授)たちの意見や解釈もずれていたり。
もちろんクライアントの意向をくんで明確に定めるに越したことはないのですが、リソース(時間と予算)やケイパビリティ(主には言語、コミュニケーションか?)の制約がある中で、プロジェクト関係者全員がハッピーになる妥協点を見つけるのはやはり容易ではありませんでした。
さらにプロジェクトを難しくしたのが、Multicultural なチームメンバー。作業のやり方にしても、クライアントに対するアプローチにしても、いろいろな面で価値観の相違が出てきます。一般的にMulticultural なチームは、Single cultural なチームに比べてパフォーマンスの分散が大きい(むちゃくちゃうまくいく場合もあれば、全く機能しない場合もある)ようですが、やはりSingle culturalのチーム(例えば日本人のみのチーム)と比べて、難しいなぁ、と感じました。同じ会社で何年も一緒に働いているような場合はともかく、今回のように初めてチームを組んだような場合には、Multicultural のデメリットがメリットを上回ってしまう気がします。
一方、リサーチを行うにあたっての困難もありました。やはり何と言っても、Cold call、つまり、データベースから取り出してきた企業に、一件ずつ電話をかけてインタビューを行わなければならないことです。のんきに調査に答えてくれる人はほとんどいないわけで、ことごとく断られました。300件以上電話をして得られた回答は23件でした。これには「電話だと時間が取られるから答えないけど、オンラインなら答えてもよい」と言ってくださった方の回答も含まれています。また、300件以上電話したものの、データベースが古かったりして、回答者として適さない企業も多々あったため、有効回答率としては11.3%でした。
最終的なプレゼンでは、クライアントが思っていたよりは喜んでくれたのでホッとしました。
来年のIBプロジェクトに向けてよい経験になりました。
2. Business Research Methods (BRM)
この授業は基本的にプロジェクト2をサポートするために授業です。Qualitative research、Quantitative research、その他と大きく分けると3つの部分から成っていて、プロジェクト2で使うためのツールを勉強するといった位置づけでした。具体的にはリサーチメソッド(アンケート調査、フォーカスグループ)や、必要な仮説検定などを行うためのSPSSの使い方、そしてクライアントをマネージする方法、ビジネスレポートの書き方、などです。個人的にはSPSSまわりの話が最も楽しく、テキスト等もけっこう読んだので勉強になりました。
3. Managing Internationally across Business Systems (MIBS)
この授業は「グローバル化とは言うものの、すべての市場が一つに統合されるわけではなく、各国毎に独自の仕組みの中でビジネスは行われている」といった考え方をもとに、各国毎にどのように仕組み(政府、金融システム、労働市場、価値観、など)が異なるのか、そしてそれがどのように企業の行動、ストラテジーに影響をおよぼすのか、といった内容を学びました。個人的にはけっこう面白かったのですが、当初はなかなか全体像がつかめず、全く何を言っているのかわかりませんでした。先生のプレゼンがもう少しうまいともっと興味が持てたんではないかと思ったりします。
4. SMSプロジェクト
これは秋学期からずっと続いていたプロジェクトです。これも実際のクライアントを対象にしたプロジェクトではあるのですが、ビジネスというよりは地域コミュニティに対する何らかの貢献といった位置づけだった気がします。
ぼくのチームはWaste Management (ゴミ回収 or リサイクル)の会社の依頼により、競合他社分析と、顧客満足度調査を行いました。競合他社分析では、競合他社に対して電話をかけて情報を収集するのですが、ほとんど答えてもらえず、残念ながらまともな結果は得られませんでした(プロジェクト2と同じくCold call)。「ビジネススクールの生徒でリサーチをやっているんだけど、、、」と言っても、電話インタビューに答えてくれる人はごく稀です。
一方、顧客満足度調査は、オンラインのアンケート調査を行ったところ、なんと100以上のレスポンスが集まりました(プロジェクト2でもこのくらいレスポンスがあったらなぁ、、、と思います)。簡単に分析してみたところ、お客さんは基本的に満足していることがわかりました。面白かったのは、総合満足度と個別の満足度(従業員態度、電話応対、サービスのバライエティ、などなど)の相関係数を計算してみたところ、クレーム処理に対する満足度と総合満足度の相関が突出して高いことがわかりました。自分が文句を言ったときに、それに対してきちんと処理することによって、顧客の要求が満たされることになり総合満足度の向上につながるのだと思われます。
Diploma stageを終えて
今思うと、あっという間のDiploma stageでした。日本にいた場合と比べて、いろいろな意味で視野が広がったことは間違いないと思います。もちろん、MBAコースで学んだので経営と言う意味でも学びましたし、学生のダイバーシティという意味においては多国籍環境での働き方、また英国に在住しているという点においては海外から見た日本、英国と日本の比較など、日本にいたらなかなか経験できないことをこの1年間で一気に経験した気がします。
この経験は間違いなくぼくの人生において貴重なものとなることでしょう。
次はMBA stageです。今度は何を得られるでしょうか。

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